研究課題
2017年に胃癌に対する新たな3次治療として、免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブの適応が認可された。しかし治療効果予測が可能なバイオマーカーは未確定で、リキッドバイオプシーを含めた新たなバイオマーカーが必要とされている。本年度は、胃癌に対する新たなバイオマーカーの探索を目指して、最近特に注目されている免疫チェックポイント関連分子であるPD-L1およびPD-L2に着目し、胃癌患者血漿・腫瘍組織中のPD-L1およびPD-L2蛋白量を測定し、臨床病理因子、再発および予後との関連性を検討した。1)対象・方法 2006年11月から2013年12月に帝京大学病院上部消化管外科にて手術を施行した242人、男性/女性170/72例の胃癌患者を対象とし、血漿・腫瘍組織中のPD-L1・PD-L2の発現を測定した。2)結果 末梢血におけるPD-L1・PD-L2発現を胃癌患者と健常人(n=8)で比べたところ、胃癌患者においてPD-L1とPD-L2の発現は、健常人と比べて高値を示した。242人の胃がん患者の検討で、血漿中PD-L1発現とPD-L2発現の相関係数は0.406、腫瘍組織中PD-L1発現とPD-L2発現の相関係数は0.435で、いずれも有意な相関がみられた(p<0.001)。一方、血漿中PD-L1・PD-L2発現と腫瘍組織中PD-L1・PD-L2発現の有意な相関は認めなかった。また、血漿中・腫瘍組織中PD-L1・PD-L2発現と病理学的ステージとの相関も認めなかった。さらに、中央値で、高/低発現の2群に分けて比較したが、年齢以外の臨床病理因子との明らかな相関はなく、予後にも影響を与えなかった。3)結論 胃癌患者の術前PD-L1・PD-L2発現は健常人よりは高いものの、病理ステージとの相関はなく、予後予測マーカーとはならないことが判明した。
3: やや遅れている
研究自体は終了している。2020年度は当初の予定では最終年であることから、これまでの結果をまとめて最終報告書を作成する予定であった。しかし、諸般の事情により報告書が完成するに至らなかった。
これまでに集積した研究データを解析し、結果について検討する最終報告書を作成する。
研究結果を取りまとめ整理し解析する。最終的な結果について検討し、報告書を作成する。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)
帝京医学雑誌 43巻1号 Page19-29(2020.01)
巻: 原著論文/比較研究 ページ: 19-29