研究課題
進行胃癌に対する予後は依然不良である。2017年新たな3次治療として、免疫チェックポイント阻害剤であるニボルマブの適応が認可された。しかし治療効果予測が可能なバイオマーカーは未確定で、リキッドバイオプシーを含めた新たなバイオマーカーが必要とされている。これまで、胃癌に対する新たなバイオマーカーの探索を目指して、最近特に注目されている免疫チェックポイント関連分子であるPD-L1およびPD-L2に着目し、胃癌患者血漿・腫瘍組織中のPD-L1およびPD-L2蛋白量を測定し、臨床病理因子、再発および予後との関連性を検討してきた。その結果、末梢血におけるPD-L1・PD-L2発現を胃癌患者と健常人で比べたところ(n=8)、PD-L1とPD-L2の発現は、健常人と比べて胃癌患者で高値を示した。また242人の胃がん患者の検討で、血漿中PD-L1発現とPD-L2発現の相関係数は0.406、腫瘍組織中PD-L1発現とPD-L2発現の相関係数は0.435で、いずれも有意な相関がみられた(p<0.001)。一方、血漿中PD-L1・PD-L2発現と腫瘍組織中PD-L1・PD-L2発現の有意な相関は認めず、血漿中・腫瘍組織中PD-L1・PD-L2発現と病理学的ステージとの相関も認めなかった。さらに、中央値で、高/低発現の2群に分けて比較したが、年齢以外の臨床病理因子との明らかな相関はなく、予後にも影響を与えなかった。以上より、胃癌患者の術前PD-L1・PD-L2発現は健常人よりは高いものの、病理ステージとの相関はなく、予後予測マーカーとはならないことが判明した。本年度は上記データを検証するとともに、全体のまとめを行なった。
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病理と臨床(0287-3745)39巻1号 Page45-49(2021.01)
巻: 解説/特集 ページ: 45-49
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