研究課題/領域番号 |
17K10610
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
安本 和生 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90262592)
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研究分担者 |
石垣 靖人 金沢医科大学, 総合医学研究所, 教授 (20232275)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | スキルス胃癌 / HGF/MET axis / EGF ligands/EGFR axis / 増殖誘導 / MEK阻害薬 / mTOR阻害薬 / 相乗的増殖阻害 |
研究実績の概要 |
・スキルス胃癌細胞特有の、HGFならびにEGFRリガンドamphiregulin増殖誘導機序解明を目的に、まずマウスxenograft癌性腹水合併癌性腹膜炎発症スキルス胃癌細胞株における両増殖因子刺激後(0, 1, 6, 24h)の細胞内リン酸化蛋白(43種)の発現状況をProteome Profiler(human phospho-kinase array, R&D)を用いて検討した。刺激後1hが両因子ともに蛋白発現が最も高いことが確認されたことを踏まえ、非スキルス胃癌細胞2株(運動能誘導はあるが増殖は認めない)を対照群として用いて検討した。スキルス胃癌細胞特異的に43種中JNK 1/2/3にリン酸化の亢進が確認された。Akt-mTOR系のPRAS40, P70S6 KinaseやSTAT3は両群に、WNK-1やSTAT5 a/bは非スキルス細胞にのみリン酸化誘導が確認された。本結果を踏まえ、JNK 1/2/3経路の代表的阻害薬2種(SP600125, JNK-IN-8)によるHGFならびにEGFRリガンドamphiregulin特異的増殖誘導の阻害活性の有無を細胞増殖試験により検証したが、残念ながら抑制効果は認められなかった。 ・上記の結果を踏まえ、RAS/RAF/MEK/ERK系ならびにPI3K/AKT/mTOR系の2大細胞増殖経路について各種シグナル経路阻害薬を用いての、上記HGF誘導性スキルス胃癌増殖誘導特異的活性化経路の特定を試みた。その結果、スキルス胃癌やMET遺伝子増幅胃癌細胞では、MEK阻害薬の感受性が予想以上に高いことが判明した。 ・さらに、MEK阻害薬にmTOR阻害薬を追加することで、増殖抑制効果は相乗的に増加することも明らかとなった。これら増殖抑制効果は、ベースラインの増殖をも非常に低濃度から強力に抑制することも明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スキルス胃癌細胞特有の、HGFならびにEGFRリガンドamphiregulin増殖誘導機序解明を進めた結果、特定のシグナル経路が、スキルス胃癌病態特異的に認められることが判明し、これらの新たな知見は、AMED知財リエゾンに相談等、AMEDの支援も頂きながら、先行技術調査依頼を実施すると同時に、特許出願に向け、その準備を目下進めている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
今なお効果的な治療法のないスキルス胃癌を含むびまん性胃癌に対する病態特異的な阻害薬の開発に向け、今後in vitroならびにin vivoで阻害効果を十分に検証し、難治性のスキルス胃癌治療薬開発薬としての位置づけを新たなものとする。先行技術調査を踏まえ、特許申請・取得を行い、製薬企業との産学連携申請から臨床開発応用を図るべく導出を図る予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
in vitro中心で初期の研究が中心で現在まで使用額が小さいが、今後検証のためのin vitro, in vivo実験の追加検証で、多くの費用を要す見込みである。
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