研究課題
癌の増殖・転移に関しては、癌細胞を取り巻く微小環境が注目されており、癌細胞と周囲間質との間の相互作用が重要とされている。胃癌においての癌の発生母地は、ヘリコバクター・ピロリ菌感染などによる慢性炎症と、それに引き続く周囲環境変化が発癌・癌進展関連していると考えられる。本研究は、近年注目されている腫瘍微小環境に焦点を置いたものである。胃癌周囲間質に関連するマイクロRNA の候補を網羅的アレイ解析により同定し、その機能解析結果をもとに胃癌微小環境でのマイクロRNA の役割を明らかにしてゆくものである。解析予定は以下であった。1. 胃癌切除検体を用いた癌部・癌周囲間質・非癌部間質の各々のマイクロRNA アレイ解析による、癌周囲間質で特異的に発現している幾つかの候補マイクロRNA の選出。2. 複数の組織検体を用いて、候補マイクロRNA のvalidation study。3. 癌周囲間質に特異的に高発現なマイクロRNA の局在についての検討。4. 胃癌細胞株を用いて、in vitro での間質特異的マイクロRNA の機能解析。5. 胃癌患者・慢性胃炎患者・健常人の血液サンプル中での癌周囲間質特異的マイクロRNA の発現解析。胃癌切除検体において、網羅的データベース解析またはアレイ解析により癌周囲間質に関連する候補マイクロRNA選出を行った。そのアレイ解析の結果において、癌部と癌周囲間質の比較はならびに癌周囲間質と非癌部間質の比較の両者を念頭においた候補マイクロRNAの選出を試みた。その結果に基づいたvalidation studyを複数の組織検体を用いて行ったが、胃癌組織や間質組織中の多様性・異質性・不均一性の影響があるのか、妥当性の証明は困難であった。癌部・癌周囲間質・非癌部間質の区分方法や、実際の組織抽出方法(macro dissectionかlaser micro dissectionかなど)についても検討の余地があると考えられ、preliminaryな解析を行った。
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