研究課題/領域番号 |
17K10616
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研究機関 | 千葉県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
星野 敢 千葉県がんセンター(研究所), 消化器外科, 主任医長 (10400904)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 食道癌 / microRNA / microRNA-1246 / microRNA-106b |
研究実績の概要 |
これまでの千葉大学先端応用外科での結果をtest cohortによる結果とし、千葉県がんセンターバイオバンクに保存される凍結血清検体101例を用いてvalidation cohortとしての結果を確認することとした。microRNA-1246および106bの発現解析をReal-time PCRを用いて行った。対照として健常者検体50例を用いた。新たな検体を用いての解析であったが、千葉大学先端応用外科での解析結果とほぼ同様の感度、特異度が再現されることが確認された。また、臨床病理学的因子についても解析を行ったが、深達度、リンパ節転移の有無、進行度との相関を認めこれらもこれまでの報告と同様の結果であった。microRNA-1246の高い発現を有する群では低い発現の群に比較し予後は悪い傾向を認めた。また、PCRを用いて、miR-106b-25クラスターの宿主遺伝子であるMCM7遺伝子のReal-time PCRを実施した。その結果、食道扁平上皮癌組織ではmiR-106b-25クラスターの発現は変化しなかった。対照的に、MCM7の発現レベルは有意に増加していた(P <0.001)。 食道扁平上皮癌患者では、miR-93および25の血清レベルは変化しなかったが、血清miR-106bのレベルは低下していた(p = 0.0012)。食道扁平上皮癌患者由来の循環血清サンプルにおいてmicroRNA-1246は上昇し、miR-106bは低下を示した。血清miRNAの発現は、転写レベルだけでなく、他の異なるメカニズムによっても制御され得ることが改めて確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
おおむね仮説に準じた結果であり、研究は概ね順調に経過していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
miR-1246ならびにmiR-106bの食道扁平上皮癌患者における新規バイオマーカーとしての有用性はより堅牢なものとして示すことが出来た。しかしながら今後は、癌部、非癌部におけるMCM7、miR-106b-25 clusterのゲノム配列におけるコピー数多型、個々のプロモーターの検討を中心とした発現解析を行う予定である。また、miR-106bの組織から血中への移行動態を細胞外小胞であるエクソソームによる能動的な分泌機構、lncRNAによるスポンジ効果を中心に解析することでmiRのコミュニケーションツールとしての機能解析を行うことを予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗状況は概ね良好と考えられるが、使用薬剤等が当初想定していた予算より安価に納入可能であった。今後はシーケンス等も施行する可能性があり、解析実験に利用する。
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