研究課題
microRNA(miR)-106b-25 clusterの血液中での発現解析ならびに新規バイオマーカーとしての有効性の検証を行った。miR-106b-25 clusterについて千葉県がんセンターバイオバンク血清また新たな患者より同意を取得の上、採取した血清を用いて、計150例を超えるサンプルからmiR-106b、93、25についての発現解析を行った。同時に同意を得た上で50例を越える健常者サンプルを収集し、健常コントロールとして解析に用いた。Qiagen社のmiRNeasy Serum/Plasma kitを用いて、microRNAを含め、total RNAを抽出した。Thermo Fisher Scientific社のNanoDropを用いてtotal RNAを定量し、そのうち1μgを用いて、QuantiTect Reverse Transcription Kit (Qiagen)にて逆転写を行った。PCRはApplied Biosystems社の7500 Fast Real-Time PCR systemを用いて行った。その結果、これまでの千葉大学のでの少数例検体での検討と同様に、miR-106bは健常者血清中との比較において患者血清中では有意にその発現が低下しており、一方でmiR-93、25については有意な発現変動を認めなかった。また同時に我々のこれまでの報告からも血清中のmiR-1246高発現は食道癌患者の有力なバイオマーカー候補と考えられているが、同じ検体を用いてmiR-1246/106bのratioを検討した結果、食道癌のスクリーニングにおいてAUC 0.901、感度:80.0%、特異度:80%と極めて良好な結果が得られた。この結果はmiR-1246、miR-106b単独での感度、特異度を有意に改善させる結果であった。
3: やや遅れている
本来であれば細胞株を用いての発現解析、詳細なメカニズムの検討を開始予定であった。研究代表者が2018年に千葉大学先端応用外科より千葉県がんセンター食道胃腸外科へ研究機関が異動となり細胞利用の手続きや実際の使用の場や器具のセットアップに時間を要している。
研究計画を再度検討し、具体的なスケジュールを立案する。これまでの研究成果からmiR-106bとmiR-25、93の発現変動の相違は明らかと考えられる。今後、癌部、非癌部におけるMCM7、miR-106b-25 clusterのゲノム配列におけるプロモーターの検討を中心とした発現解析を行う。また、miR-106bの組織から血中への移行動態を細胞外小胞であるエクソソームに着目しその能動的な分泌機構を中心に解明することを予定している。
本来開始予定であった細胞を用いてメカニズム解析の開始が遅れていることが最大の理由と考えられる。
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