研究課題/領域番号 |
17K10619
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
田中 直樹 東北大学, 大学病院, 助教 (60547404)
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研究分担者 |
井本 博文 東北大学, 大学病院, 助教 (20754922)
内藤 剛 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (50291258)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 肥満 / 代謝改善手術 / 糖尿病 / NASH / 胆汁酸 |
研究実績の概要 |
当グループでは、代謝改善手術である十二指腸腔腸吻合術(Duodenal-jejunal bypass: DJB)を施行し、その代謝改善効果の機序の解明に取り組んできた。これまで、DJBを施行すると著明な体重増加抑制効果および糖尿病改善効果を認める一方、胆膵路(Bilio-pancreatic limb: BPL)を切除することで、消化液と混じた 食餌が流れる共通管(Common channel: CC)の長さが同等なのにもかかわらず、DJBによる減量・代謝改善効果が全くキャンセルされる事実を報告した。つまり、BPLの存在が減量および代謝改善効果に重要であることを示した。また、DJB術後の血中胆汁酸レベルの上昇を確認した。一方、非アルコール性脂肪肝炎 (Non-alcoholic Steatohepatitis:NASH)に関しても、DJBによる改善効果が期待され、欧米食を模したFast Food Dietによる食餌誘発性NASHモデルラットを初めて確立し、DJBによるNASHの改善効果を報告した。このモデルにおけるNASHの改善効果は、脂肪蓄積よりもむしろ炎症反応および結果として観察される肝組織の線維化の抑制を主とするものであった。NASHの発症から進行については、two hit theoryが提唱されており、肝組織への脂肪の蓄積に続くエンドトキシンや胆汁酸などによる酸化ストレス(2nd hit)が必要とされる。DJB術後の胆汁酸レベルの上昇、腸内細菌叢の変容、さらにはNASHモデルでの炎症反応抑制に起因すると思われるNASH改善効果を確認したことで、DJBによる胆汁酸レベルの上昇と腸内細菌叢の変容が、NASH発症・進展における2nd hit(酸化ストレス)を軽減すること、また、その効果がBPLの切除で先行研究と同様にキャンセルされる可能性を考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、実験コストおよび今後の発展性を念頭に、経験のあるラットではなく、マウスでの十二指腸空腸吻合術モデル確立を企図した。しかしながら、通常マウスでは何とか手術可能なものの、肥満・糖尿病マウスでは耐術せず断念した。 現在は使用経験のある食餌誘発性NASHモデルラットでの実験を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに経験のある食餌誘発性NASHモデルラットに戻し、動物モデルを作成し、現在擬死・サンプル採取の前段階にある。 食餌誘発性NASHモデルラットに対する代謝改善手術の効果を、その術式夜効果の違いや原因を明らかにすることで、代謝改善手術は酸化ストレスを軽減することで、NASHを改善させるという仮説を証明したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
後で
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