研究課題
当グループでは、代謝改善手術である十二指腸空腸吻合術(Duodenal-jejunal bypass: DJB)を施行し、その代謝改善効果の機序の解明に取り組んできた。DJBを施行すると著明な体重増加抑制効果および糖尿病改善効果を認める一方、胆膵路(Bilio-pancreatic limb: BPL)を切除することで、消化液と混じた食餌が流れる共通管(Common channel: CC)の長さが同等なのにもかかわらず、DJBによる減量・代謝改善効果が全くキャンセルされる事実を報告した。つまり、BPLの存在が減量および代謝改善効果に重要であることを示した。一方、非アルコール性脂肪肝炎(Non-alcoholic Steatohepatitis:NASH)に関しても、食餌誘発性NASHモデルラットを確立し、DJBによるNASHの改善効果を報告した。今回、実験に汎用性のあるマウスモデルでの術式確立に力を注いだ。しかしながら、肥満・糖尿病モデルラットでは耐術せず、新規手術モデルの確立は断念した。続いて、食餌誘発性NASHモデルラットを作成し、DJBを行う群(DJB群)、BPLを切除したDJB群(BPL切除群)を設定して、それぞれに手術を施行した。結果として、DJB群では体重増加抑制を伴い、肝逸脱酵素の減少と組織学的なNASH改善効果を認めたが、BPL切除群ではこれらの効果がキャンセルされることを見いだした。現象論としては、糖尿病改善効果と同様に、BPL切除によりDJBのNASH改善効果がキャンセルされることを確認できた。現在、擬死およびサンプル採取は終了しており、今後は、炎症関連マーカーの変化をPCRや免疫染色などの手法を用いて検討する予定である。
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Obes Surg.
巻: 29 ページ: 1901-1910
10.1007/s11695-019-03790-y