研究課題
Notchの大腸癌細胞の発現、とくに核内における発現と、予後不良であるという、臨床研究の報告から、Notchを治療標的としうるのではないかという着想のもとに、ガンマセクレターゼ阻害の大腸癌における影響をin vitroで検証することから着手している。ガンマセクレターゼ阻害薬として既に臨床応用され、副作用も含めて情報の豊富な塩酸ドネペジルを選択し、さらにポジティブコントロール用のNotchリガンドとしてJagged-1を選んだ。Notch1~4、ヒト大腸癌株のLovo株、Caco2株、SW480株、HT29株の4株について、抗Notch1~4抗体による細胞染色法を用いたスクリーニングを施行し、Notch活性およびガンマセクレターゼ阻害薬反応性の特に高い受容体としてNotch3を選出し、細胞株としてはLovo株とCaco2株を選出した。ウエスタンブロッティング法を行ったところ、Lovo株でガンマセクレターゼ阻害薬による活性型Notch3タンパクの発現量低下を確認した。次いでリアルタイムPCR法によるNotch経路の下流因子の評価を行った結果、Lovo及びCaco2株において、Jagged-1を投与して亢進したHEY1遺伝子のmRNA転写活性が、ガンマセクレターゼ阻害薬により大きく抑制されることを確認した。他のNotch経路遺伝子であるHEY2やHES1、HES2遺伝子でも同様の傾向が示され、詳細な評価を進めている。以上、ヒト大腸癌においてNocth3が発現し、それをガンマセクレターゼ阻害薬が抑制することを、in vitroの実験系にて定性的かつ定量的に示することができた。
3: やや遅れている
細胞実験はほぼ終了したが、動物実験が現在準備中である。
これまでにヒト大腸癌においてNocth3が発現し、それをガンマセクレターゼ阻害薬が抑制することを定性的定量的に示することができたが、現在MTSアッセイによるin vitroでの腫瘍増殖抑制効果の定量的評価を進めつつ、マウスにおいてヒト大腸癌(Lovo株、Caco2株)の転移モデルを作成し、ガンマセクレターゼ阻害薬をマウスの腹腔内に定期的に投与することで生体中での腫瘍増殖抑制効果を確認すべく実験準備中である。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Ther Adv Med Oncol
巻: in press ページ: in press
Colorectal Dis