研究課題
大腸癌患者においては、腫瘍におけるNotchの発現がことなり、Notchの高発現は低発現の腫瘍に比べて予後不良であるという研究結果がえられていた。Notchの細胞膜におけるcleavageにかかわるガンマセクレターゼは、それを阻害することにより、Notchの細胞内ドメインの核への移行が抑制されるため、腫瘍抑制の標的となりうるのではないかという仮説を検証するのが本研究の概要である。今年度の研究では、大腸癌細胞株CaCO2を用いて Notch シグナル経路を阻害するガンマセクレターゼ阻害剤(GSI)を投与し、免疫細胞染色を行うと、10nM, 12時間処理にてNotch3の局在が核から細胞質に移動することが示された。他の大腸癌細胞株LoVoを用いた染色でも同様の傾向が見られた。次にquantitative RT-PCR法にて、大腸癌細胞株CaCO2にGSI 40nMを24時間-48時間投与するとGSI非投与群に比べてHey1,Hey2, Hes1, Ki-67の発現が6-7割程度に低下することが示された(ΔΔ法による)。動物実験では、大腸癌細胞株LoVoをBalb/c nu/nu雌マウスの側腹部皮下に投与してできたxenograftに対して、GSIを腹腔内に1-5 mg/kg, 週3回を2週間投与したが、非投与群に比べて腫瘍体積の増加が抑えられる傾向があったが、有意ではなかった。現在はCaCO2でのxenograftモデルを用いて、またGSI投与スケジュールを調整して、GSIのin vivoでの抗腫瘍効果を検証中である。
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