研究課題/領域番号 |
17K10625
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中村 慶史 金沢大学, 附属病院, 助教 (30608691)
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研究分担者 |
高橋 直樹 埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), 病院 消化器内科, 医長 (20744204)
澤田 武 金沢大学, 附属病院, 医員 (60345626)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 循環腫瘍DNA / 大腸癌 / 抗上皮成長因子受容体抗体 / 遺伝子変異 / 個別化治療 |
研究実績の概要 |
循環腫瘍DNA(ctDNA)を抽出する血液検体に関しては、金沢大学と、その研究協力施設である埼玉県立がんセンター、石川県立中央病院、名古屋市立大学の倫理審査委員会の承認を得て、採取を開始した(課題名:RAS遺伝子野生型の切除不能進行再発大腸癌における循環腫瘍DNAを用いた抗EGFR抗体薬耐性検出の研究)。対象は、(手術もしくは生検標本を用いて)RAS遺伝子野生型と診断されている切除不能進行再発大腸癌に罹患しており、抗上皮成長因子受容体(EGFR)抗体薬を使用した化学療法を施行する予定の患者である。化学療法の開始前から病状進行まで、定期的に血液を採取する。日常臨床で行われている血液検査の際に、追加で10-20 mlの血液採取を行い(採血管はctDNA採取用に開発されたStreck社のCell-free DNA BCTチューブを用いている)、採取後、血漿を遠心分離、冷凍保存している。ctDNA用の血液採取と並行して、腫瘍マーカーの測定、CTでの病状評価を行っている。目標数は50例としているが、現在までに20例の登録を行った。全例の登録、検体採取が終了した後にctDNAの抽出、解析を行う予定である。そのデータをもとに、ctDNAによる抗EGFR抗体薬の治療効果予測、治療効果のモニタリング、治療無効の早期判定が、腫瘍マーカーや画像診断と比較して早期に可能かどうかを検討する。 並行して、予備的にctDNAの変異解析を行った24例中19例で、保存されていた原発巣や(同時性、異時性の)転移巣の手術検体、34検体からDNA抽出を行った。今後、原発巣、転移巣において複数の癌関連遺伝子の変異解析を行い、腫瘍の不均一性の有無や程度を検討する。さらにctDNAにおける変異と比較することにより、ctDNAがどの程度原発巣や転移巣の変異を反映しているのかを検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
循環腫瘍DNA(ctDNA)抽出用の検体採取のための症例登録が遅れているため。また、登録した症例の血液採取が終了した後にctDNAの変異解析を開始する予定としたため、解析開始まで時間を要するため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き症例の集積を行う。並行して、予備的に循環腫瘍DNA(ctDNA)の変異解析を行った24例中19例において、保存されていた原発巣や(同時性、異時性の)転移巣の手術検体からDNA抽出を行っており、そのDNAを用いて複数の癌関連遺伝子の変異解析を行う予定である。原発巣と転移巣の遺伝子変異の違いを調べることにより腫瘍の不均一性の有無、程度を検証することが可能である。また、腫瘍の不均一性を反映するとされるctDNAの有用性に関しても新知見が得られる可能性がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
症例の集積に時間を要するため。加えて、研究費の総額を抑制するために全例の検体集積が終了してから解析を行うこととしたため、腫瘍循環DNAの変異の解析が開始できないため。組織由来のDNA抽出や変異解析は可能であるため、研究費をそちらに使用する。また並行して進めている、予備的研究に用いた症例の組織検体の変異解析にも使用する。
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