研究課題/領域番号 |
17K10626
|
研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
堀口 和秀 福井大学, 学術研究院医学系部門, 准教授 (20377451)
|
研究分担者 |
堀口 里美 福井大学, 学術研究院医学系部門, 特別研究員 (00595283)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | カハール介在細胞 / 発生 / 消化管 / 発現解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、新規細胞内タンパク相互作用解析法を用いて、消化管運動の主たる調節性細胞であるカハール介在細胞(ICC)の分化・形質転換のメカニズムについて、BMPシグナル系に焦点を当てて解析を行うことを目的とする。そのために、BMP受容体をbait、カハール介在細胞由来のcDNAライブラリーをpreyとするyeast two-hybrid法を行うことを主たる研究方法として計画しているが、その前段階として、prey部分である胎生期ICC由来のcDNAライブラリー作製の時期を特定する必要があった。 この目的のため、まず対象とする小腸の各部位における平滑筋およびICCの発生時期および様態について検討する必要があり、29年度は胎生期マウスを材料にαSMA(平滑筋マーカー)およびc-KIT(ICCマーカー)の発現を免疫組織化学的手法およびリアルタイムPCRにより解析した。 その結果、αSMA発現は近位小腸では胎生11.5日、中間部および遠位部では胎生12.5日目から発現が認められた。c-KITは胎生11.5日目に近位小腸で発現が認められたが、同時期では小腸の遠位に行くに従って発現は減少していた。胎生12.5日目の小腸においては近位・中間部・遠位各部位でおおむね等しく平滑筋・筋層間ICC(ICC-MY)の発生が進行していた。また、胎生17.5日まで小腸輪走筋層内のICC(ICC-DMP)は認められなかった。 29年度の結果により、胎生12.5日目の小腸を用いてcDNAライブラリーを作製するのが本研究の目的を達するために適切であると決定した。この結果に基づき30年度以降の研究を進める。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
胎生期筋層の分子動態を検討する必要があった。29年度の研究によりpreyとするKIT陽性細胞由来cDNAライブラリーの採取時期を決定することができ、達成度は順調である。
|
今後の研究の推進方策 |
・bait (BMP受容体セリン・スレオニンキナーゼ領域)ベクターの作製:マウス小腸からのmRNAをtemplateとし、BMP受容体セリン・スレオニンキナーゼ領域をコードするcDNAをRT-PCRにより合成後、pBluescriptにサブクローニングする。得られたDNA断片をyeast two-hybrid法に使用する際のbait側のpSOSベクターに挿入し、bait用ベクターとする。 ・ICCmRNAからのcDNA合成及び酵母two-hybrid系の構築およびスクリーニング:BMP受容体発現ベクターpSOSと上記で得られたcDNAライブラリー、prey用ベクターpMyrを酵母cdc25H株に組み込み、cDNAを合成する。このcDNAライブラリーをもとにmicroarrayを行うことで、BMP受容体の細胞内シグナリングに関わる遺伝子群の探索を行う。 ・BMP受容体シグナリング分子の発現解析:上述の実験により得られた候補遺伝子について発現時期、発現細胞、発現量を定量PCR、in situ hybridization法、免疫染色を用いて検討する。また、発現変化量の多い遺伝子について、シーケンスにより塩基配列を解読し、BLAST searchを用いて相同性検索を行うことで対象遺伝子の同定を行う。この解析については研究代表者、分担者ともに別の実験系で実施実績があり、問題なく進行すると考えられる。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由)達成度の項目に示したとおり、29年度に予定していたcDNAライブラリーの作製は30年度に行う。yeast two-hybrid法の実施に要するMatchmaker酵母ハイブリッドシステム(Clontech)を次年度に購入予定であるため、繰越を行った。 (使用計画)次年度に購入し、実験を遂行する。
|