研究課題/領域番号 |
17K10627
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
倉地 清隆 浜松医科大学, 医学部, 助教 (20397384)
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研究分担者 |
今野 弘之 浜松医科大学, 医学部, 学長 (00138033)
山本 真義 浜松医科大学, 医学部附属病院, 診療助教 (70397420)
原田 岳 浜松医科大学, 医学部附属病院, 診療助教 (00537251) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | CAC / 炎症性腸疾患 / 発癌 / 腸内細菌 |
研究実績の概要 |
Colitis-Associated Cancer (CAC)は,IBD患者の死因の約15%を占める最も重要な予後規定因子であり,CACの発癌予防がIBD患者の予後改善のための喫緊の課題である.CAC発癌は強い炎症を背景とするため,様々なメカニズムが提唱されているものの,その詳細は未だ十分に解明されておらず,予防戦略も確立されていない.これまでの報告から,IBDの病態形成にはDysbiosisから起因する特異的な腸内細菌とその代謝産物が強く関与することが示唆されている.そこで本研究では,IBD切除症例のFFPEサンプルを用いて,NGSによる16S rRNAのメタゲノム解析を行い,腸内細菌叢を構成する細菌種の同定,構成比率の違いを明らかにする.癌を伴わないIBD症例とCAC症例の腸内細菌叢の構成成分の違いを潰瘍性大腸炎症例とクローン病それぞれで解析することにより,CAC症例にみられる特異的な細菌種の同定,および構成比率の変化を明らかにすることを目的として研究を行っている. 本年度は,臨床検体を用いたNGSによる16S rRNAの解析を試みた.当科において1990年以降に切除された潰瘍性大腸炎症例(約120例),クローン病症例(約200例),およびCAC症例(約20例)のFFPE標本からDNAを抽出し,高速シークエンス解析用アダプター配列を付加した16S rRNA領域特異的プライマー(V3-V4領域)を用いてPCR増幅,精製を行い,次世代シークエンサーに供するライブラリーを作製.高速シーケンス解析用アダプター配列を付加しPCR産物を用いて,次世代シーケンサーによる配列取得,および16S rRNAデータベースに対する相同性検索および系統分類解析を行っている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平性29年度は,臨床検体を用いた解析を行ったが,過去の手術症例で当時の切除検体保存状態が悪い標本においてはDNAのクオリティが悪く,解析に時間がかかっている.
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今後の研究の推進方策 |
やや進捗に遅れがみられるが,DNA抽出方法を工夫することにより予定通りの研究継続が可能と判断している. 平成30年度には,マススペクトロメトリー法を用いた各細菌種における特異的代謝産物の同定を行う予定であり,また平成31年度にはCACモデルマウスを用いたCAC発癌予防実験を施行する予定となっている.
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