研究課題
背景:潰瘍性大腸炎関連大腸癌(UCAC)は“Dysplasia-Carcinoma Sequence”による発癌過程を呈し,慢性炎症長期化が粘膜のAgingを促進し,UCAC発症リスクになると考えられている。目的:今回、正診率の高い診断マーカーを検討する為に、潰瘍性大腸炎患者の直腸粘膜の網羅的DNAメチル化解析を施行した。方法:コホート1:UCAC合併潰瘍性大腸炎患者の直腸粘膜(n=24)とUCAC非合併潰瘍性大腸炎患者の直腸粘膜(n=24)からDNAを抽出し、Illumina HumanMethylation450k BeadChip Arrayを用いて、全ゲノムのメチル化プロファイルを行った。ChAMP algorithmを用いて、UCAC合併潰瘍性大腸炎患者の直腸粘膜で有意に異なる2,549のメチル化領域(differentially methylated regions:DMRs)を同定した。さらに|Δβ| > 0.1のものを選択することで、484DMRsに絞り込めた。さらに生物学的意義のある集団として機能するものが選択できるEnrichment Analysisを施行することで、180DMRsに絞り込めた。最後に100回のLogistic regression analysisを施行し、11DMRsを選択した。直腸粘膜における11DMRsを用いたUCAC合併潰瘍性大腸炎患者診断能は、ROC解析によると、AUCが0.96であった。コホート2:UCAC合併潰瘍性大腸炎患者の直腸粘膜(n=8)とUCAC非合併潰瘍性大腸炎患者の直腸粘膜(n=8)を用いた再検証試験では、AUCが0.81であった。結語:網羅的DNAメチル化解析により11DMRsを選択できた。これらのマーカーはUCAC合併する潰瘍性大腸炎患者を選択できることが示唆され、今後の前向試験を検討している。
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Clin Transl Gastroenterol.
巻: 10 ページ: -
10.14309/ctg.0000000000000105.