研究課題/領域番号 |
17K10629
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
近藤 哲 三重大学, 医学部附属病院, 医員 (60763737)
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研究分担者 |
問山 裕二 三重大学, 医学部附属病院, 准教授 (00422824)
奥川 喜永 三重大学, 医学部, 助教 (30555545)
楠 正人 三重大学, 医学系研究科, 教授 (50192026)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 大腸癌 / 潰瘍性大腸炎関連癌 / 腸内細菌叢 / 遺伝子解析 |
研究実績の概要 |
ヒトの大腸を含む腸管には100兆個にもおよぶ多数の腸内細菌が常在し、難溶解性の多糖の分解やビタミンの合成など栄養素の代謝だけでなく、宿主免疫の発達にも関与することが知られている。加えて、腸管常在細菌は、病原性細菌の腸管へ定着及び増殖に際し、栄養素を巡る競合や抗菌物質の分泌など様々な方法を介して宿主を守る働き(Colonization resistance:CR)を持っている。以前から大腸癌発症の機序には、加齢などにともなう慢性炎症が、大きな役割を担っていることがあきらかにされており、その顕著な例として潰瘍性大腸炎に伴う炎症性発癌があげられる。そこで、本研究では大腸癌、潰瘍性大腸炎関連大腸癌、潰瘍性大腸炎、健常者における口腔内細菌叢と大腸腸内細菌叢の構成を解析をおこなうことで様々な観点からの特定細菌叢の同定を行い、その機能的役割や、形態学的な変化から大腸癌発癌のあらたな病態形成機序を解明し、それらの機序を利用した大腸癌発症リスク診断や予防的治療への可能性を提示することが本研究の目的である。 大腸癌組織と正常粘膜のfresh frozen sampleから抽出したDNAの抽出を終了し、細菌発現量を解析したところ、Fusobacterium発現量は、正常大腸粘膜と比較し、大腸癌組織で細菌量が増加しているほか、右側大腸癌で細菌量が多く、またmolecular profileでは、MSIやBRAF変異陽性大腸癌で有意に細菌量が増加することが日本人においても初めて確認された。現在、さらに潰瘍性大腸炎におけるメチル化解析も含めて検討を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
大腸癌組織ならびに正常粘膜からFFPE標本を用いてDNA抽出を行い、細菌叢発現量解析の基礎実験を行ったが検出感度が低いことが問題となったため、再度凍結標本を用いて再解析を開始しているため、やや遅れている
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今後の研究の推進方策 |
今後は潰瘍性大腸炎における細菌叢発現量解析や、DNAメチル化解析も含めて相関解析も追加する予定としている
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次年度使用額が生じた理由 |
臨床検体からのRNAやDNA抽出、薄切に時間を要したため、やや研究計画に遅れが生じたため、次年度でのエピゲノムマーカー測定を予定している
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