研究課題/領域番号 |
17K10630
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
坂井 義治 京都大学, 医学研究科, 教授 (60273455)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ポリメラーゼイプシロン / 大腸癌 |
研究実績の概要 |
大腸癌のdriver gene mutationに関する既報を網羅的に調べて作成した遺伝子リストを元に、次世代シーケンサーを用いたtargeted capture sequencingを行った。 APC、TP53、KRAS、FBXW7とPIK3CAの順番に最も高い頻度で変異が入っていることが認められた。手術後の経過で再発を認めた群と、再発を認めなかった群の間で各々の遺伝子の変異が入っている頻度を調べたところ、FBXW7が再発を認めなかった群において優位に高い頻度で変異が認められた。このことから、FBXW7の変異が転移、再発に対してprotectiveに働いていることが示唆された。またMSI(マイクロサテライト不安定性)を有する大腸癌は優位に再発の頻度が低いことが認められた。これは、欧米からの報告及び日本からの報告に一致する知見であった。 MSIを有する大腸癌に加えて、POLE(ポリメラーゼイプシロン)に変異を有する大腸癌においても優位に再発の頻度が少ないことが認められた。MSIに匹敵する強い予後良好因子であることが確認された。解析した550例中、11例(2%)にこの種類の大腸癌が確認された。今まで日本においてはこの稀な種類の大腸癌の頻度及び予後に関する報告は認めない。欧米においては、報告は少ないものの概ね1-2%の頻度であると考えられており、日本においても同様の頻度であることがわかった。解析対象のコホートを550例から3240例に拡大し、POLEの変異を同様に次世代シーケンサーを用いたamplicon-based deep sequencingで確認したところ、40例にこの種類の大腸癌が確認された。40例中再発を認めたのは1例のみであり、非常に予後が良い種類の大腸癌であることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最初のコホートで発見した遺伝子変異及び予後良好因子を、拡大したコホートで確認することができた。このコホートの規模は世界的にも最大級である。
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今後の研究の推進方策 |
追加のコホート及び、最初のコホートで発見したPOLEに変異を有する大腸癌は稀な種類であるため、今まで網羅的な遺伝子解析を行った報告は認めていない。そのため、targeted capture sequencingに加えて、whole exome sequencing及びRNA sequencingを追加し、この大腸癌の詳細な検討を追加する予定としている。
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次年度使用額が生じた理由 |
若干の端数が出たため。次年度分と合わせて使用する。
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