研究課題
抗EGFR抗体薬に対する獲得耐性の原因にはRASシグナルカスケードに関与する遺伝子群における獲得体細胞変異が報告されている。しかしながら、これら獲得体細胞変異はNGSを用い探索を行っても、獲得耐性を呈する患者の半数ほどにしか認めることはできない。我々は、これら報告を鑑み、RASシグナルカスケード下流に位置する遺伝子群における遺伝子変異ではない、DNAのメチル化異常を中心としたepigenetic変異が原因であることを想定し、それらepigenetic変異を同定することを目的に本研究を開始した。臨床試験は現在19例の症例が登録されている。来年度には登録終了行えるように引き続き参加施設にお願いを行っている。バイオマーカーの探索では、RASシングルカスケードに関与し、そのプロモーター領域にCpG islandを持ち、そのCpG islandにおける異常メチル化と遺伝子発現の関与が報告されている遺伝子群に着目し、TCGA colon adenocarcinoma 333サンプルに関して、それぞれ485000プローベの中から当該遺伝子に相当するprobeを抽出し、そのメチル化解析をβバリューの平均にて比較を行い、腫瘍特異的にメチル化が起きていることを確認し、当院での凍結標本から得られたDNAを用い解析を行い、その再現性の確認を行っている。次に当院にて大腸癌Stage IVで抗EGFR治療薬の治療を受けた9人の患者から得られた血流の解析を行い、抗EGFR抗体薬に対する獲得耐性の原因となりうるDNAメチル化異常領域の同定および、その再現性の確認を行った。
2: おおむね順調に進展している
抗EGFR抗体薬に対する獲得耐性の原因となりうるDNAメチル化異常領域の同定および、その再現性の確認は後方視的に終了している。また、新規のバイオマーカー候補についても新規にプローベ設定を行なっている。本研究は、再現性の最終確認として、Phase II試験であるPBP (Panitumumab Beyond Progression) 試験に参加収集予定の 55症例の血液の解析を行い、臨床データと統合解析を行うことである。 2019年4月30日時点までに、このPBP試験の参加人数は総計43例登録が行われており、その内の収集された採血検体70検体についてはgenetic解析を終了しており、予定しているDNAメチル化解析を順次行なっており良好な結果を蓄積している。
PBP試験は参加予定人数を55例と設定ており、このままいけば2019年12月までに目的症例に達する予定である。血液検体全体は150前後の収集が見込まれている。今後も適宜収取された血液検体の解析を進める予定である。目的としているgenetic/epigenetic マーカー群の解析であるが、Hi-SA法に加え、Luminexを用いた新規技術の確立と応用も2018年より試みており、この新技術による解析も本年度に行う予定である。
使用物品を予定よりもやや安価に購入できたため、次年度使用額が生じた。次年度使用費用は翌年の試薬購入に使用する予定である。
すべて 2019 2018
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (8件)
Cancer Lett
巻: 444 ページ: 127-135
10.1016/j.canlet.2018.12.009. Epub 2018 Dec 21. PubMed PMID: 30583079; PubMed Central PMCID: PMC6339593.
Oncotarget
巻: 9 ページ: 16477-16488
10.18632/oncotarget.24735. eCollection 2018 Mar 27. PubMed PMID: 29662660; PubMed Central PMCID: PMC5893255.