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2018 年度 実施状況報告書

大腸癌におけるRNF43遺伝子による腫瘍増殖メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 17K10639
研究機関熊本大学

研究代表者

杉原 栄孝  熊本大学, 医学部附属病院, 非常勤診療医師 (10608863)

研究分担者 石本 崇胤  熊本大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (00594889)
今井 克憲  熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 助教 (60555746)
今村 裕  公益財団法人がん研究会, 有明病院 消化器外科, 副医長 (70583045)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード大腸癌 / Wntシグナル / RNF43
研究実績の概要

Wntシグナルは様々な癌腫において活性化している事が知られており、標的遺伝子発現の増幅、 細胞増殖、細胞運動などを調節している。RNF43は Wntシグナルを抑制する癌抑制遺伝子であり、RNF43は大腸癌をはじめとした様々な癌腫でmutationや発現低下が報告されている。我々は本研究において大腸がん切除検体、大腸がん細胞株、RNF43 knockout マウスを用いて消化管上皮および大腸腫瘍進展における RNF43発現意義を明らかにすることを目的とした。
その結果RNF43 mutationは右結腸に多く、BRAF mutationと密接に関与しており、RFSが有意に短いことが明らかになった。またRNF43 mutationがあると細胞増殖が亢進し、腫瘍の発育進展にかかわることを明らかにした。大腸癌においてAPCやβ-cateninのmutationを介した増殖・進展機構に関する報告は数多く認めるが、RNF43 knockout mouseを用いた実験ではRNF43単独の機能喪失でも腫瘍の増大に関わることが明らかとなった。またマウス腸管からorganoidを作成し、RNF43がorganoid形成に及ぼす影響についても比較検討を行い同様の結果を得た。real-time qPCRを用いたWnt下流遺伝子のmRNA発現解析では、ほぼすべての下流遺伝子においてmRNA発現が亢進していた。
以上の研究結果をまとめ、Journal of Pathologyに投稿し2018 245:445-455に掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

熊本大学の臨床および基礎研究室、それぞれの研究組織が得意とする研究手法を活かした共同研究を展開する事が出来ている。臨床検体を用いた予後解析に加えてin vitroでの解析、CRISPR/Cas9システムを用いた遺伝子改変マウスを用いた腫瘍発育進展の評価も終了した。合わせてWnt下流遺伝子のmRNAレベルの解析も行いWntシグナル活性の評価も行った。さらに昨年度の科研費実施状況報告書において今後の研究課題であったAPC遺伝子などの遺伝子変異との関連についても評価を行った。本研究の成果は2018年にJournal of Pathologyに掲載された。

今後の研究の推進方策

これまでの研究により、RNF43が腫瘍増殖にかかわり、また腸管幹細胞においてもRNF43欠失は腫瘍増大に関与することが明らかとなった。これまでにAPCなど大腸癌に関わる遺伝子変異との関係性については評価を行ったがその分子論についてはまだ解明できていない。今後は分子論の解明に加えてRNF43ノックアウトマウスを用いてRNF43関連分子阻害剤による腫瘍増殖抑制効果について検討を行っていく予定である。

次年度使用額が生じた理由

試薬、消耗品費については、医局保管の物を使用する事が出来た。
情報収集ならびに研究成果を発表する為の学会出張旅費に充てたいと考える。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Impact of loss-of-function mutations at the RNF43 locus on colorectal cancer development and progression2018

    • 著者名/発表者名
      Eto T, Miyake K, Nosho K, Ohmuraya M, Imamura Y, Arima K, Kanno S, Fu L, Kiyozumi Y, Izumi D, Sugihara H, Hiyoshi Y, Miyamoto Y, Sawayama H, Iwatsuki M, Baba Y, Yoshida N, Furukawa T, Araki K, Baba H, Ishimoto T
    • 雑誌名

      The Journal of Pathology

      巻: 245 ページ: 445~455

    • DOI

      10.1002/path.5098

    • 査読あり
  • [学会発表] Impact of loss-of-function mutations at the RNF43 locus on colorectal cancer progression2018

    • 著者名/発表者名
      Ishimoto T, Eto T, Miyake K, Fu L, Uchihara T, Arima K, Yasuda T, Itoyama R, Yoshida N, Baba H
    • 学会等名
      SGICC 2018
    • 国際学会

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公開日: 2019-12-27  

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