研究課題
私たちはこれまで、ポリフェノールによる抗腫瘍効果の作用機序を研究してきた。その結果、アポトーシス調整蛋白であるBcl-xLとMcl-1が共同してアポトーシスを抑制していることを発見した。この過程において、ポリフェノールは常にMcl-1を抑制するが、Bcl-xLは抑制される場合と逆に活性化される場合があるという興味深い現象を見いだした。本研究では、この研究を発展させ、ポリフェノールのBcl-xLに対する作用機序を分子レベルで解明し、消化器がんに対するポリフェノール療法による新たながん治療法を開発することを目的とする。H29年度はポリフェノールがBcl-xLに及ぼす効果とアポトーシスの関係をwestern blotやcell death ELISA kitを用いて検索した。その結果、Bcl-xLとMcl-1を同時に抑制することで非常に強いアポトーシスを誘導することを確認した。さらにそのシグナルの確認を行ったところSTAT3のリン酸化を抑制することでこれらの作用が発揮されることを突き止めた。これらの結果を踏まえ、今後遺伝子変異の有無・発現の程度とポリフェノールの効果についての検討を行う予定である。
3: やや遅れている
当初の計画通り、western blotやcell death ELISAは進んでいる。またその上流シグナルも確認をすることができた。しかしその効果の強弱についてMutation analysis kitやTaqManアレイプレートで遺伝子変異の有無・発現の程度を検討する予定であったが、この点が進んでいないのが現状である。
ポリフェノールがBcl-xLに及ぼす効果とアポトーシスの関係をMutation analysis kit、TaqManアレイプレートで遺伝子変異の有無・発現の程度を検討する。また、Bcl-xL特異的阻害剤であるABT737やA-1155463などの薬剤とポリフェノールの併用がもたらす効果を検証する。臨床検体を用いてBcl-2 family蛋白の発現と予後・病理学的因子の関係を免疫染色を用いて行う。
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