研究課題/領域番号 |
17K10645
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
岩本 博光 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (60756592)
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研究分担者 |
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
尾島 敏康 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (60448785)
早田 啓治 和歌山県立医科大学, 医学部, 学内助教 (90637654)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | iPSDCs / WT1特異抗原 / 癌ワクチン |
研究実績の概要 |
これまでは遺伝子導入はiPSDCsへ分化誘導してから,adenovirus vectorにて遺伝子導入をしていたため,導入効率が低く,長時間の遠心操作のため生存率も低く,多くの導入遺伝子を発現しているDCsを得ることはとても困難であった.しかし本研究ではWT1特異抗原を導入したiPS細胞からiPSDCsを分化誘導することで,理論上は100%導入したWT1特異抗原を発現しているiPSDCsを得ることができる.これによりより強力な抗腫瘍効果を得ることができると考えられる. そこで当科にて所蔵しているWT1特異抗原遺伝子をcarryするadenovirus vectorより制限酵素にてWT1特異抗原遺伝子を切り出し,PCRにて鋳型DNAを調製する.そしてIn vitro transcriptionにてsgRNAを合成し,PCRにて切断確認用のターゲットDNA調製し,sgRNAとCas9でターゲットDNAを切断する.そしてLipofectamineを用いてリポフェクション法にてWT1特異抗原遺伝子の導入を試みたが,サイレンシングが起こり導入に成功しなかった. そこでこれまでの遠心法で,分化誘導したヒトiPSDCsにvirus vectorを用いてWT1特異抗原遺伝子導入を行った.担癌患者由来のヒトiPSDCsでも導入に成功した.そしてそれぞれの遺伝子導入iPSDCsの成熟能を,細胞表面マーカーの発現率をFACSにて測定し,サイトカイン分泌能をELISA法にて測定することにより,これまでに当科で蓄積してきたiPSDCsのデータと比較検討した.その結果,これらのiPSDCsはPBMCDCsと同等の腫瘍抗原細提示細胞としての機能を有している可能性があると考えられた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
いわゆるCRISPR/Cas9を用いて,ヒトiPSDCsにでターゲットDNAを切断する.そしてLipofectamineを用いてリポフェクション法にてWT1特異抗原遺伝子の導入を試みたが,サイレンシングが起こり導入に成功しなかった. そこでこれまでの遠心法で,分化誘導したヒトiPSDCsにvirus vectorを用いてWT1特異抗原遺伝子導入を行った.担癌患者由来のヒトiPSDCsでも導入に成功した. これ以外の実験については、ほぼ予定通り進行した。
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今後の研究の推進方策 |
iPSDCs-WT1,iPSDCs-GFPをstimulatorとしてPBMCsをresponderとして,in vitroで3回刺激し,bulk CTLsを誘導する.このCTLsをCD8+CTLsのみソートし,導入したWT1特異抗原を発現しているもの,していないもの含む各種の癌細胞株に対し,Negative controlとして用意するiPSDCs-GFP由来のCTLsと抗腫瘍効果をin vitroのCr-release assay(それぞれの導入遺伝子発現iPSDCsをstimulator,PBMCsをresponderとして,供培養を行い,in vitro刺激にてbulk CTLsを得る.そしてCD8+CTLsをソートし,導入した癌幹細胞特異抗原に特異的な細胞傷害活性をCr release assayを用いて比較検討する.Positive targetはPBMCs由来LCLに癌幹細胞特異抗原遺伝子を導入した仮想自己WT1特異抗原発現株を用いる)及びin vivoのWinn assay(iPSDCs-WT1,iPSDCs-GFPをstimulator,PBMCsをresponderとして,供培養を行い,in vitro刺激を3回繰り返すことによりbulk CTLsを得る.次にMACS Proを用いてCD8+CTLsをソートする.そして標的癌細胞株とCD8+CTLsを混ぜ合わせ調整し、NOD/SCID miceの背中に皮下投与する.Negative controlとしてそれぞれの標的癌細胞株のみ投与する.そして腫瘍のサイズを継時的に評価する.すべてのマウスを解剖し,腹膜播種,肝転移,脾臓転移などの転移の有無を確認し,ある場合はその数,大きさを記録する)で比較検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
予定していたiPSDCsの分化誘導の一部を次年度に持ち越したため、サイトカインおよび抗体の一部の購入を次年度に持ち越したたため
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