研究課題
大腸癌原発巣の組織部位別のFTX発現状況とその意義を検討するため、大腸癌原発巣3か所より組織を採取し、それぞれについて151遺伝子を標的としたPan-Cancer panelにより次世代sequencerを用いた変異解析、294のタンパクを標的とした逆相タンパクによる網羅的タンパク発現解析を行った。3か所で共通するFounder 変異に対し、1, 2か所のみで検出されるNon-founder変異は倍程度見られ、その変異アリル頻度はFounder変異のそれに比べ有意に低かった。変異情報にもとづく系統樹解析では、少数の原発巣部位および中等度の遺伝子パネルによる少数の変異情報でも、進化過程の初期に生じたtrunk mutationと後期に加わってきたと考えられるbranch mutationに分けられ、部位別の時間的情報も得られる可能性が考えられた。また対応するタンパク発現解析では、多くの症例で同一腫瘍内でも採取部位によりタンパク発現状況が異なることを示した。これらの腫瘍組織内の遺伝子変異およびタンパク発現のheterogeneityとFTX発現の比較を試みたが、通常のreal time PCRでは大腸癌症例のほとんどがFTX発現検出感度以下であり解析不能であったため、高感度技術であるdigital PCRを用いた解析を試みた。既存の解析で発現が検出されなかった症例でも、FTX発現陽性が確認され、また採取部位による発現差も比較可能であることを示した。大腸癌におけるFTX発現の意義をより正確に解明するためのシステムを構築した。これはnoncoding RNAのみでなく、微量発現の遺伝子やサンプル間での微量な差の検討など広く応用可能な手法である。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
Asian Journal of Endoscopic Surgery
巻: 13 ページ: 152~159
10.1111/ases.12731
medRxiv
巻: NA ページ: NA
https://doi.org/10.1101/2020.05.01.20087106