研究課題
【研究目的】我々は腫瘍のゲノムプロファイルがその進展・転移、治療の過程で変化する事に注目し、ゲノムプロファイルのモニタリングとその情報に基づくがん治療戦略の構築を進めてきました。しかし頻繁な生検や転移巣の検体採取が必要で、煩雑性や過大侵襲が大きな問題でした。その問題を解決したのが、血中に遊離した希少な腫瘍細胞やDNAを検出する技術リキッドバイオプシーです。我々が注目したのはKRAS遺伝子で、様々ながん腫で変異が認められ、切除不能大腸がんでは治療標的分子となっています。KRAS遺伝子を経時的にモニタリングする事で、薬剤耐性や感受性回復の指標としての意義を検証します。またKRAS statusに基づく治療介入方法や薬剤の再導入などへの応用を探ります。タイムリーなゲノムプロファイルの取得により、新たな医療アプローチとしての臨床応用を目指します。さらにオンチップソーティングシステムを用いて循環腫瘍細胞を抽出し、全ゲノム増幅を行い、次世代シークエンサーで解析を行うプラットフォームを確立します。【研究実績】(1)デジタルPCRによるリキッドバイオプシー:膵がん患者の血漿検体を収集し、デジタルPCRを用いて血中モニタリングを行い、KRAS循環腫瘍DNAの検出の臨床的意義を検討しました。膵がん患者においては、術後再発の有無にかかわらず予後を反映し、化学療法の治療効果と相関することが明らかとなりました(PLOS ONE 2019)。さらに循環腫瘍DNA(ctDNA)遺伝子パネル(AVENIO)を用いて標的分子を197遺伝子に広げました。(2)液滴ソーティングによる塩基配列解析と簡易解析システムのアプリケーション化:オンチップソーティングシステムを用いてCTCを抽出し、全ゲノム増幅を行い、次世代シークエンサーで解析を行うプラットフォームの構築を進めています。
すべて 2020
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (24件)
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