研究課題
本研究の根幹をなすのは、ADAM17flox/flox マウスと腸管上皮細胞で Cre を発現する Villin-Creマウスを交配し、腸管上皮細胞特異的なADAM17コンディショナルKOマウスを作成することであるが、飼育区域に発生した感染症によりそれぞれのマウスが殺処分となってしまいマウスの作成が遅れてしまった。そこで、マウスの交配を続けながら通常マウスに高脂肪食を摂取させ、肥満マウスを作成し、得られた肥満マウスと同期間通常の餌で飼育した通常マウスの腸管粘膜中のADAM17の発現を、qPCRで比較した(図.3)。肥満マウスでは通常マウスと比較してADAM17のmRNAの発現が亢進していることが確認できた。ADAM17は肥満マウスでmRNAの発現が亢進していた。加えて、ADAM17を活性化させるカスケードのアンタゴニストにあたるChemokine ligand 14 (以下 CXCL14)のmRNAの発現が、肥満マウスで低下していることも確認できた。肥満環境下ではADAM17の上流に位置するCXCL14の活性が変化し、ADAM17の発現、しいてはTNF-αといった肥満関連cytokineの発現に影響を与えている可能性が示唆された。腸管上皮細胞特異的なADAM17コンディショナルKOマウスの交配は概ね完了したため、実験に必要な個体数を確保した後に肥満関連大腸癌発癌モデルを作成する方針である。上記モデルの完成の後には、microarray解析を施行する。ヒト検体におけるADAM17, CXCL14などの発現と肥満に関する因子との関連に関しても、現在データを集積中を行った。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Cancer Science
巻: 110 ページ: 2156-2165
10.1111/cas.14066