| 研究課題/領域番号 |
17K10653
|
|---|
| 研究機関 | 順天堂大学 |
|---|
研究代表者 |
落合 匠 順天堂大学, 医学部, 客員准教授 (10626815)
|
|---|
| 研究分担者 |
小見山 博光 順天堂大学, 医学部, 非常勤講師 (30348982)
十合 晋作 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80365634)
|
|---|
| 研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
|
| キーワード | 大腸癌 / 治療効果判定 / テロメラーゼ / 予後予測因子 / 血中循環腫瘍細胞 |
|---|
| 研究実績の概要 |
がん治療における課題は、転移・再発への対応であり、がん患者における転移の有ているても転移・再発の検出感度の向上が治療成績に関わる課題である。一方、がん細胞は血液の流れに乗って肝臓など原発とは異なる臓器に生着して転移を起こす。血中に浮遊する細胞を血中循環癌細胞Circulating Tumor Cell; CTC）と呼び、 これを捕捉するシステムが開発された。このシステムはは米国(FDA)で臨床試験が行われている。こうした既存のシステムでは、抗体の設定を自由にできず、捕捉率も悪く、大腸がんの臨床応用に不向きである。これは、細胞表面抗原を認識する抗体を用いたCTC検出法に効率面での問題があるためである。他にもCTCの捕捉には、さまざまな手法の開発が行われているが、いずれも検出感度が低いことが課題である。一方、本邦で開発されたテロメスキャンは、癌で高発現しているテロメラーゼを指標として癌を捕捉する 手法である。
我々は、このテロメスキャン法に着目、さらに様々な手法を取り入れ 精度の高いCTC測定法の構築を進めてきた。大腸がん患者より採取した血液を用いた解析を進めている。これまでに大腸癌患者の採血検体中のCTCを解析し、その結果、従来法によるCTCの検出に比してより感度の高い検出結果を得ている。本研究により精度の高い大腸癌CTC測定が可能になれば、採血検体からのCTC検出により大腸癌早期検出、さらに手術や化学療法の効果も評価可能となり、治療法選択の上でも有用である。
|
| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
通常用いられるCTC捕捉検出法では、癌細胞で特異的に高発現する分子（抗原）を標的としてCTCを捕捉・検出するが、こうした方法では標的とした抗原の発現レ ベルが低い癌細胞を捕捉できないため検出力が低くなることが指摘されている。本研究で新規な検出法の適用によって大腸癌CTC検出法の検出力の高さを確認し た点は計画どおりの成果であるが、症例ごとのCTC濃度変化の解析は症例集積が遅れたこともあり引き続き進めていたところであった。2020年度は新型コロナウイルス感染拡大により、発注が長期間停滞したため、研究遂行においても支障が発生し、これによって本計画の工程に遅れが発生した。
|
| 今後の研究の推進方策 |
現在、解析をすすめている症例ごとのCTC濃度変化の解析、また大腸がんCTCと治療効果の評価を引き続き行い、臨床情報との関連性を解析、採血によるCTCの治療効果判定マーカーとしての有用性を確定する。
|
| 次年度使用額が生じた理由 |
テロメラーゼを指標とした方法などから、新規な方法による高感度なCTC検出を可能とし、大腸癌の症例ごとの治療前後のCTCの変化の追跡を行っている。2020年度は新型コロナウイルス感染拡大により、発注が長期間停滞したため、研究遂行においても支障が発生し、これによって本計画の工程に遅れが発生したため次年度使用額が生じた。
この次年度使用額は、追加解析に不可欠な試薬・消耗品、またデータ解析費用として使用する。
|
