研究課題/領域番号 |
17K10655
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
橋口 陽二郎 帝京大学, 医学部, 教授 (60251253)
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研究分担者 |
飯沼 久恵 帝京大学, 医学部, 講師 (30147102) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 大腸癌 / リキッドバイオプシー / 炎症性マーカー / microRNA / 脂質分析 / 個別化治療 / 再発予測診断 |
研究実績の概要 |
本研究課題では、糞便、唾液、血液といった体への負担が少なく頻回検査が可能なサンプルを用い、腸内細菌叢の16Sメタゲノム解析による、大腸癌の新たな診断法の確立を目指し研究を行ってきた。化学療法剤と分子標的薬の治療前後の、腸内細菌叢のパターンの変化から、治療効果予測マーカーとしての有用性を検討する予定であったが、遺伝子解析を担当する共同研究者の死亡により腸内細菌叢の遺伝子解析が困難となった。遺伝子解析体制の再構築を試みたがコロナウイルスの再流行などあり、困難であった。そこで、検討するマーカーの対象を広げ、脂質、腫瘍の遺伝子解析や炎症性マーカーを用いた予後分析、抗癌剤の効果への影響の分析を行っている。 遺伝子変異、炎症性マーカー、栄養指標マーカー、腫瘍占拠部位などが大腸癌術後の予後因子であり、薬物療法の効果へも影響していることが示唆された。 大腸癌組織への脂質蓄積(Very long-chain fatty acids are accumulated in triacylglycerol and nonesterified forms in colorectal cancer tissues, Hama K et al. Scientific reports), 腫瘍局在と栄養指標による予後予測 (Impact of Colon Cancer Location on the Prognostic Significance of Nutritional Indexes and Inflammatory Markers, Tamuro H, et al. In Vivo), CEAによる補助化学療法後の予後予測(The robust performance of carcinoembryonic antigen levels after adjuvant chemotherapy for the recurrence risk stratification in patients with colorectal cancer, Journal of surgical oncologyなどを論文化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、共同研究者の死亡により困難となった腸内細菌叢の遺伝子解析に関して研究体制の再構築を試みたが、新型コロナウイルス感染症の再流行などで困難であった。研究期間をさらに1年延長し、癌の遺伝子や栄養関連因子の大腸癌予後や抗癌剤効果との関連、さらには新たに脂質分子の分析を行い、個別化治療への臨床応用を検討した。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子解析を担当する共同研究者の死亡により、困難となった腸内細菌叢の遺伝子解析のための研究体制の再構築を試みたが困難であった。そこで、研究期間をさらに1年延長した。今後は、脂肪分析、tumor-free DNAやmicroRNA、遺伝子変異、炎症性マーカーなどより多くの予後因子に着目し、化学療法剤や分子標的薬の治療効果モニタリングマーカーとしての有用性を検討していく。これらのマーカーを用いた大腸癌予後予測、抗癌剤効果予測により、より総合的で非侵襲的な大腸癌における予後、化学療法の治療効果判定法が確立されると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の再流行などにより、共同研究者死亡により中断した遺伝子解析を再開できなかったため、試薬の使用予定が進まず次年度使用額が生じた。繰越額については、データ解析、研究発表用の旅費、論文掲載料などに用いる予定である。
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