研究課題/領域番号 |
17K10663
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中野 麻恵 新潟大学, 医歯学総合病院, 特任助教 (20790281)
|
研究分担者 |
亀山 仁史 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40626420)
松田 康伸 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (40334669)
坂田 純 新潟大学, 医歯学系, 講師 (70447605)
小林 隆 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (40464010)
若井 俊文 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50372470)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 大腸癌肝転移 / NQO1 / 薬物療法抵抗性 |
研究実績の概要 |
本研究では「抗酸化ストレス蛋白質であるNQO1発現が大腸癌肝転移に対する術前補助化学療法の効果予測マーカーとなり得るか否かを明らかにすること」を目的としている。 大腸癌肉眼的肝転移巣および原発巣のNQO1の発現の有無は、NQO1モノクロナール抗体を用いた免疫組織化学を行うことで同定した。肉眼的肝転移巣の腫瘍細胞がNQO1発現陰性を示す場合、同一標本内の非腫瘍性大型胆管上皮細胞がNQO1発現陽性であればNQO1発現陰性化症例、NQO1発現陰性であればNQO1遺伝子多型症例とした。 大腸癌肝転移68例において、NQO1陽性48例(70.6%)、陰性20例(29.4%)であった。肝転移巣におけるNQO1発現の有無と関連のある臨床病理学的因子は認められなかった。肝切除術後の累積疾患特異的生存率をみると、NQO1陽性例はNQO1陰性例に比べて有意に予後不良であった(5年生存率70.1%vs 94.4%;生存期間中央値88か月vs 130か月;P=0.041)。また、NQO1の遺伝子多型がない症例は遺伝子多型がある症例に比べて予後不良な傾向を認めた(5年生存率71.1%vs 100%;生存期間中央値90か月vs 133か月;P=0.07)。多変量解析では、NQO1陽性のみが独立した予後不良因子であった(ハザード比3.697;P=0.039)。 大腸癌肝転移巣におけるNQO1発現は、肝切除術後の遠隔成績における予後不良因子である。NQO1発現が大腸肝転移症例に対する化学療法の治療効果の予測因子となり得るかを検討したい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大腸癌肝転移巣におけるNQO1発現が、肝切除術後の遠隔成績に与える影響についてまとめ、国内学会発表2件と国際学会発表1研を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
p62/Keep1/Nrf2/NQO1 pathwayの関与を証明するために、免疫組織化学によりp62およびNrf2発現の評価を追加で行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
国内学会および国際学会発表、また英語論文の投稿を予定しており、そのための費用として使用予定である。
|