研究課題/領域番号 |
17K10671
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
岩下 幸雄 大分大学, 医学部, 講師 (60534203)
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研究分担者 |
猪股 雅史 大分大学, 医学部, 教授 (60315330)
城戸 康年 大分大学, 医学部, 助教 (90511395)
飛彈野 真也 大分大学, 医学部, 助教 (80516386)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 肝星細胞 / 胆汁酸 / 腸内細菌叢 |
研究実績の概要 |
(1)腸内細菌叢解析 研究計画書に沿って、末梢血・門脈血、便の採取を行った。3月末時点で肝細胞癌患者18名、転移性肝癌患者6名(計24名)から同意を取得し、採取を完了した。便に関しては、検体を全て-80℃凍結保存している。また、一部の検体を用いて次世代シーケンサー解析を開始した。担当の城戸医師は大阪市立大学へ移動したが、引き続きプロジェクトに参加し検討を行っている。末梢血・門脈血の採取は全例に施行し、総胆汁酸量、分画を測定した。これまでのところ、肝細胞癌患者における末梢血中、門脈血中胆汁酸量の上昇を認め、特に門脈血中の胆汁酸に特徴的な変化を認めることを確認している。 (2)星細胞SASP因子分泌による様々な病態との関連解析 ヒト肝星細胞株(LX-2)を9種類の胆汁酸の共存下に培養し、検討した。ある状況下において星細胞は強く活性化し、a-SMAの強発現、老化物質(IL-6)の産生増強を認めた。このような環境下においては、星細胞の作用により肝細胞が老化現象を起こしやすいという理論に一致する。さらにこの環境下における星細胞の変化を網羅的に検索する必要性があると考え、それぞれの条件のもとに培養した星細胞の遺伝子変化をDNAマイクロアレイ法を用いて解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腸内細菌叢解析に関しては、肝細胞癌患者からの採取は順調に症例数を確保できた。一方で、転移性肝癌患者(コントロール)はほとんどが腹腔鏡下に手術が行われ、門脈採血の手技が確立した開腹手術が少なかった。また、次世代シーケンサー解析も一部の症例には解析を開始している。また、胆汁酸の解析も肝細胞癌患者における特徴的な変化を捉えており、さらなる症例集積が望まれる。 星細胞培養の研究では、ヒト肝星細胞株(LX-2)の胆汁酸による変化を詳細に検討している。こちらも予定通り解析は進んでおり、マイクロアレイの結果を踏まえて論文化できる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
予定通り研究を進める。唯一の問題点となっている転移性肝癌患者(コントロール)の検体採取に関して、腹腔鏡下手術中の門脈血採血方法を確立すべく検討を行うとともに、門脈血が採取できない場合にも末梢血・便の採取のみ行うように検討している。
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