研究実績の概要 |
SMYD2(SET and MYND domain-containing protein 2)は、メチルトランスフェラーゼとして p53 の機能を阻害する重要な分子である(Huang J et al. Nature. 2006)。また、p53 とは independent に p21 を抑制して細胞増殖に関わる分子である(Komatsu S, Imoto I, Inazawa J et al. Carcinogenesis. 2009, Br J Cancer 2014)。申請者らは、43 種類の食道扁平上皮癌細胞株に対してアジレント 244K オリゴアレイ CGH 解析を行い、既知の増幅領域の再評価により 1q 増幅領域から新しい癌関連遺伝子としてSMYD2を同定した。 SMYD2 の過剰発現は、食道癌で約 70%、胃癌で約 40%に認められる(Komatsu S et al. Carcinogenesis. 2009, Br J Cancer 2014)。SMYD2特異的阻害剤(AZ505, AstraZeneca, Lodon, UK)が開発されたのを受け、食道癌、胃癌、肝癌などの消化器癌における SMYD2 を標的とした新たな治療分子としての開発・臨床応用を行った。肝癌は高頻度に 1q 増幅領域を持つ。特に、SMYD2 の坐位する 1q32-42 増幅領域は、多くの肝癌で遺伝子増幅を認める。① 肝癌の臨床検体を用いたSMYD2の発現解析、予後、悪性度の評価、② 肝癌の悪性度に関するSMYD2分子機構の解明、を行った。現在、食道胃接合部腺癌での解析もすすめている。以上の内容を近日英文誌に報告する予定である。
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