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2018 年度 実施状況報告書

肝細胞癌におけるドライバー遺伝子変異と薬剤感受性関連遺伝子発現変化の探索

研究課題

研究課題/領域番号 17K10675
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

上野 昌樹  和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (90405465)

研究分担者 速水 晋也  和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (00468290)
川井 学  和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (40398459)
山上 裕機  和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (20191190)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード原発性肝癌 / ゲノム
研究実績の概要

肝内胆管癌における遺伝子解析を行い、TP53, KRAS, SMAD4, NF1, ARID1A, PBRM1を代表とする32の癌細胞増殖・浸潤に係る遺伝子の有意な変異を認めた。その中で、ARID1A・KRAS・MUC17遺伝子の変異は予後に相関していた。また、BRCA1, BRCA2, RAD51D, MLH1, MSH2などのミスマッチ修復遺伝子関連の異常も約11%の症例に認め、肝内胆管癌における遺伝性発癌の可能性があることや、免疫チェックポイント阻害剤の好対象となる集団があることが分かってきた。また、これまでに行った肝細胞癌の遺伝子解析の結果との対比により、肝内胆管癌細胞の発生起源を探索したところ、これらの約3割は、肝細胞由来であることが判明した(J Hepatol. 2018;68(5):959-969.)。また、分子標的治療薬の有望な対象標的の一つであるFGFRに関しても、数種類の融合遺伝子を同定できた。現在、標準治療終了後の進行再発肝内胆管癌症例に対して、ミスマッチ修復遺伝子の解析を行い、免疫チェックポイント阻害剤の効果との関連性を検討することを計画している。肝細胞癌においては、ヒストンタンパクのメチル化関連遺伝子に関しての解析を行い、KDM5B/JARID1Bの脱メチル化酵素の発現が予後に関連していることが分かり、抑制されていた何らかのactionable geneの再活性化が肝細胞癌の増殖・浸潤に関与していると考えらた。また、in vitroの実験系で肝細胞癌株を用いて、KDM5Bノックダウンを行い、癌細胞の増殖・浸潤が抑制されることが再現された(Oncotarget. 2018;9(76):34320-34335.)。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

肝内胆管癌においてミスマッチ修復遺伝子の変異を認める集団をある一定の割合で認めた。これらは、免疫チェックポイント阻害剤が適応できる可能性が高い集団と言われている。今後のさらなる症例を集めて、検討を追加してく予定である。

今後の研究の推進方策

2019年度は、特に新規分子標的治療薬であるレンバチニブに関して、切除不能状態で投与され切除可能へconversionとなった症例の切除標本から、抗腫瘍効果の高い領域と低い領域から、それぞれ遺伝子を抽出し、2領域における遺伝子変異の発現の差異の解析を行い、レンバチニブ感受性に関わる遺伝子変異の抽出を行う。また、肝内胆管癌を含む原発性肝癌に対する免疫チェックポイント阻害剤の併用の有効性が示唆されているため、切除標本におけるPDL-1の発現の程度の解析も行い、レンバチニブ非投与症例の既存の切除サンプルと比較することで、免疫チェックポイント阻害剤の有効性が誘導されているかを検証する。得られた結果を取りまとめて、成果の発表を行う。
さらには、患者由来癌組織からの短期培養系の樹立を図り、薬剤感受性パネルの作成を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

ストックしていた凍結サンプルを効率よく無駄が出ないようにcDNA化することでコストダウンを図ることができた。
2019年度は、調整金の追加配分を用いて、肝内胆管細胞株・肝細胞癌株に対して、新規分子標的治療薬(レンバチニブ・レゴラフェニブ)や、免疫チェックポイント阻害剤に対する感受性遺伝子の検索を追加で行う予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2018

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件)

  • [雑誌論文] Genomic characterization of biliary tract cancers identifies driver genes and predisposing mutations.2018

    • 著者名/発表者名
      Wardell CP, Fujita M, Yamada T, Simbolo M, Fassan M, Karlic R, Polak P, Ueno M, Nakamura T, Nakagawa H, et al.
    • 雑誌名

      J Hepatol

      巻: 68 ページ: 959-969

    • DOI

      10.1016/j.jhep.2018.01.009.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Overexpression of KDM5B/JARID1B is associated with poor prognosis in hepatocellular carcinoma.2018

    • 著者名/発表者名
      Shigekawa Y, Hayami S, Ueno M, Miyamoto A, Suzaki N, Kawai M, Hirono S, Okada KI, Hamamoto R, Yamaue H.
    • 雑誌名

      Oncotarget

      巻: 9 ページ: 34320-34335.

    • DOI

      10.18632/oncotarget.26144.

    • 査読あり / オープンアクセス

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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