研究課題
免疫チェックポイント阻害剤の反応性を予想するために、原発性肝細胞癌の腫瘍周辺環境における腫瘍免疫抑制状態をドライバー遺伝子変異の観点から調査した。結果、腫瘍関連マクロファージ浸潤型・CTNNB1変異型・ cytolytic activity型・regulatory T cell浸潤型の4つの表現型に分類され、免疫チェックポイント阻害剤の反応が期待されるグループ(cytolytic activity型・regulatory T cell浸潤型)と期待されないグループ(腫瘍関連マクロファージ浸潤型・CTNNB1変異型)があることが分かった。特に、cytolytic activity型で、かつ腫瘍辺縁にCD8陽性T細胞が集簇していた症例において、Lenvatinib、Pembrolizumabのresponse rateが高いことが観察された。一方で、PD-1/PD-L1の発現程度と免疫チェックポイント阻害剤の反応性の相関性は強く認められなかった。上皮間葉移行関連遺伝子(Epithelial-mesenchymal transition genes; EMT)の発現程度と予後の関連性について、E-cadherin(CDH1)、inhibitor of DNA binding 2 (ID2)、matrix metalloproteinase 9 (MMP9)、transcription factor 3 (TCF3)の4つのEMT関連遺伝子が、Cox比例ハザードモデルで作成された予測モデル(-0.333×[CDH1]-0.400×[ID2]+0.339×[MMP9]+0.387×[TCF3])により有意な予後判別力を持つこと報告したが、これらEMT関連遺伝子の変異と腫瘍免疫抑制状態の表現型との間に関連性は認められなかった。また、宿主側の要因に関しても検討を加え、術前補助化学療法後にリンパ球/単球比が低くなった症例は、その後の術後予後は不良であり、集学的治療中の免疫バランスを維持が重要であることを報告した。
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