研究課題/領域番号 |
17K10677
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
高原 武志 岩手医科大学, 医学部, 講師 (80453306)
|
研究分担者 |
佐々木 章 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40275540)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | Side population細胞 / 肝外細胞注入療法 / 脾臓 / 肝切除 / 肝不全 |
研究実績の概要 |
悪性疾患に対する大量肝切除後肝不全は、肝移植の適応とはなりづらく、その治療法の一つとして有効な幹細胞移植の確立や良好な環境因子(至適門脈圧)を保持することは重要であり、同時に末期肝不全患者の肝移植までのブリッジとしても期待できる。 本研究の目的は、1) ラットの脾臓からFACSを用いてSide Population (SP)細胞を抽出する。抽出したSP細胞を凍結保存し、その保存期間ごとのSP細胞のviabilityを検討する。また、そのviabilityの根拠を探求するために、アポトーシス関連遺伝子やテロメラーゼ活性等を検証する 2)ラット70%肝切除モデルを作成し、脾摘での門脈圧の調節とSP細胞などの肝外細胞補充療法によりどの程度の肝再生が得られ、生存に寄与するかどうかについて明らかにすることである。さらに本来致死モデルであるラット90%肝切除モデルにおいて、脾摘での門脈圧の調節とさらにその脾臓から幹細胞を採取し、肝臓に注入することにより、ラットの生存に寄与できないか検討する予定である。また、ラット肝切除後の再生肝組織を病理学的に免疫染色を利用しながら確認する。 肝切除後に脾摘を行い、その脾臓よりSP細胞を抽出・自家移植し、さらに肝再生を惹起する至適門脈圧に調整することが可能となれば、中長期的には再生医療における選択的細胞増殖法の開発への足がかりや切除不能肝腫瘍の究極的治療の開発につながると期待している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ラット70%肝切除モデルはラット肝を結紮・切離することで安全に施行可能。脾細胞の採取も問題なく施行できている。フローサイトメーターを使用した検討により、適切な分画の脾細胞を採取できていることを確認した。SP細胞のセルソーターを用いた抽出はプロトコールが確立されており、当学内の設備で抽出可能である。冷凍した細胞を期間ごとに解凍し、RNA抽出を行いRNA発現解析を行うことでSP細胞が凍結保存に強いとされるメカニズムに関して検索を行っている。また、SP細胞を注入したラットの病理学的評価を行い、in vivoでのSP細胞の分化能を検証している。今年中の論文化を目指し論文作成を進めている。
|
今後の研究の推進方策 |
今年度中に論文化し、効果的な手法の確立をしていく方針である。今後は肝切除の割合を90%まであげSP細胞の有用性を検討していく。肝再生における門脈圧の調節と肝外細胞の肝再生に与える影響を解明していく。
|
次年度使用額が生じた理由 |
病院移転によるため、実験計画が予定通り進まず、1年間延長申請し、許可された。
|