肝移植の代替療法として幹細胞移植が注目されている.その有力な候補細胞の一つにside population(SP)細胞がある.SP細胞はDNA結合色素Hoechst 33342排泄能を持つ細胞で,様々な臓器に存在する.先行研究では,全臓器の中で脾臓がSP細胞の最大の貯蔵庫であることを見出した.効果的な治療のためには移植のタイミングが重要であり,一時的な細胞の保存が必要となる.本研究では,脾臓SP細胞に注目し,凍結による長期保存が可能かどうか調査することで移植細胞としての有用性を検証した.まず,ラット脾細胞を凍結し期間ごとのSP細胞の存在率を測定した.続いて,SP細胞と非SP(main population,MP)細胞を単独で凍結し期間ごとの生存率を比較した.SP細胞は全保存期間で存在し,凍結後1か月で存在率が上昇していた.また,SP細胞はMP細胞と比較し一貫して凍結保存後の生存率が高かった.SP細胞は細胞移植候補として考えた際,凍結ストレスに強いという有利な特性を持つことが示された.
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