研究課題
循環腫瘍細胞(circulating tumor cell: CTC)と循環DNA(circulating cell-free DNA: cfDNA)を用いて根治切除を行った肝細胞癌の再発を予測する方法の開発に取り組んだ。HCCからは腫瘍細胞が持つ特異的な変異を有する循環DNA(circulating tumor DNA: ctDNA)を高確率に同定することは難しいことがわかったため、CTCとメチル化されたcfDNA、通常よりも長いcfDNA (long cell-free DNA: lcfDNA)を用いて根治切除後の微小腫瘍遺残(Minimal Residual Disease: MRD)を同定することを試みた。従来の方法ではCTCを十分に採取できないことがわかったため、2つの新たな方法の開発に取り組んだ。Cell lineを用いた研究からCTCは血球よりも大きい(10μm以上)と考えられていたが、8μm程度のものが多いことがわかり、size selectionを用いる方法ではうまくいかない。EpCAM抗体を接着させることでCTCを大きくし、size selectionができる可能性を見出した。また大きさが同じでもCTCと血球細胞では電気学的特性が異なるため、これを利用した誘電泳動法にも取り組んだ。両者ともcell lineでの成果を得、ヒト検体での研究を開始した。先行して開始していた胃癌根治切除例の研究成果から術前のcfDNAのメチル化レベルが低いことと術後lcfDNA濃度が高いことが再発リスクであることがわかった。肝細胞癌症例での症例集積を開始し、同様の傾向があることを認めている。症例集積と観察期間から考え、2021年10月頃に成果が発表できる見込みである。
すべて 2020
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Eur J Surg oncol
巻: 46(1) ページ: 108-114
doi: 10.1016/j.ejso.