研究実績の概要 |
近年、環境の欧米化に伴い脂肪肝炎の割合が増加している。また脂肪肝炎においてアルコールに依存せず肝硬変および肝細胞がん(Hepatocellular carcinoma :HCC)に進行する可能性をもつものを非アルコール性脂肪性肝炎(Non-alcoholic steatohepatitis : NASH)という。またがん細胞は有酸素下においても嫌気性解糖系でATP産生をしており、これをがん特異的エネルギー代謝機構(Warburg効果)という。本研究ではNASH発症ラットモデルを用い、Warburg効果の関連遺伝子を中心にNASH及びNASH由来肝細胞がんの病態を解明することを目的としている。 ラット及びマウスの2種の動物モデル(SHRSP5/Dmcr,C57BL/6J-NASH)に高脂肪食を与えてNASHモデルを作成し適齢週でWarburg効果の評価を行った。リン酸化プロテオミクス解析では、NASH群においてWarburg効果関連のパスウェイが活性化しており、Warburg効果の律速酵素であるPKM2およびリン酸化PKM2の発現上昇を認めた。また、PKM2発現調節を行microRNAの同定に成功した。さらに、このPKM2発現変化の主体がKupffer細胞であることが示唆された。
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