研究実績の概要 |
EB1は1995年に大腸癌において腫瘍制御タンパクであるAPCと結合するタンパク質として見出された。肝細胞癌においてEB1が生物学的悪性度と関連し、他にもEB1の過剰発現が肺癌の放射線抵抗性に関わるとの報告がなされた。肺癌においては、EB1はアポトーシス制御に関わり、EB1の過剰発現が放射線照射による細胞死を抑制するという機序が提唱されている。本研究ではEB1の過剰発現が膵癌の放射線抵抗性に関与するという仮説を立て、EB1と膵癌放射線抵抗性との関連を確立することを目的とした。術前に化学放射線療法を行った膵癌切除症例17例を対象にEB1の免疫染色を施行した。各症例でEB1の染色強度と割合を測定し、強度×割合が6以下をEB1陰性、7 以上をEB1陽性とした。EB1陰性は10例、EB1陽性は7例であった。EB1と放射線効果判定(Grade1,2a,2b,3)との関連を検討したが、EB1と放射線効果の間には相関関係は見られなかった(R=-0.0236,p=0.928)。EB1と予後との関連も同様に解析したが、生存、再発ともにEB1の発現の有無では有意差を認めなかった(p=0.811,p=0.575)。EB1の機能解析を行うため、膵癌細胞株として細胞としてpanc-1 と miapaca-2を選定した。Panc-1についてはEB-1 KO株を確立し、Panc-1 KO株に対しての再発現、WTに対しての強制発現を確立した。Miapaca-2についてもKO株を確立し、Miapaca-2 KO株に対しての再発現は確率したが、WTに対しての強制発現は確率できなかった。Panc-1、Panc-1:EB1強制発現、Panc-1:EB1-KO、Panc-1:EB1再発現について細胞の増殖能をチェックするとKOして増殖能が落ちた細胞は再発現(re株)したらWTと同様の増殖能を示した。
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