研究課題/領域番号 |
17K10684
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
中西 喜嗣 北海道大学, 大学病院, 特任助教 (40447058)
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研究分担者 |
平野 聡 北海道大学, 医学研究院, 教授 (50322813)
土川 貴裕 北海道大学, 大学病院, 講師 (50507572)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 肝外胆管癌 / EMT / MET / 遺伝子変異 / tumor budding / リンパ節転移 |
研究実績の概要 |
1) 肝外胆管癌におけるtumor buddingと臨床病理学的因子と術後予後との関係についての検討:肝外胆管癌の切除検体から作成されたTMAにて、腫瘍浸潤先進部を抗AE1/AE3抗体を用いて免疫組織学的染色を行い、tumor buddingの頻度を測定した.検体の状態が良好であった266例で検討を行うことができた。tumor buddingの数が200倍視野で4個以下であった症例ををlow grade、5個以上出会った症例をhigh gradeとした場合、tumor budding gradeは、組織学的分化度、深達度、リンパ節転移、リンパ管浸潤、静脈管浸潤、遠隔転移と有為に関係を認めた.また、全生存解析における多変量解析において、tumor budding gardeはリンパ節転移とともに独立した予後規定因子として選択された. 2)tumor buddingとEMTとの関係:tumor budに対する抗 E-cadherin、vimentin 抗体を用いた免疫所職学的染色を行い、それぞれを腫瘍の中心部(腺管構造を形成する箇所)との比較した H score(染色強度×細胞数)を用いて評価を行い、H scoreを high、low で分類した.その結果、 E-cadherin が low、vimentin がhighであった群は、他の組み合わせの群と比較して優位にtumor budsの数が多かった.このことから、tumor budsの多寡は同部位におけるEMT変化を表現していることが示唆された. 3)原発巣とリンパ節転移巣における遺伝子変異の差異:リンパ節転移を有していた肝外胆管癌症例の原発巣とリンパ節転移巣からDNAを抽出し、そのDNA qualityが良好であった16例について、次世代シークエンサーを使用して代表的な癌関連遺伝子について両部位における遺伝子変位の差異を解析中である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究実績の概要に記載した1)2)に関しては、すでに英文論文を作成し、学術誌に投稿中である。 3)に関しては、現在解析進行中であり、本年度中旬までに投稿を完了する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
tumor buddingが肝外胆管癌においても、浸潤性、および予後に関連があること、またその多寡がEMTと関連があることが示唆されたことから、今後はリンパ節転移巣におけるEMT関連タンパクの発現に関して免疫組織学的検討を行い、転移巣においてはEMTの逆であるMET変化がどの時点で起こっているかことを確認する。 また、腫瘍の浸潤部、および腫瘍中心部,リンパ球転移巣におけるEMT、MET変化を惹起する微小環境についての検討を行う予定である。 原発巣、リンパ球転移巣における遺伝子変異の差異についてはここでは詳細には記載しないが、結果が出つつあり、論文に発表後、臨床治療に応用するべく計画を作成する予定である。
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