研究課題/領域番号 |
17K10685
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
林 洋毅 東北大学, 大学病院, 講師 (30422124)
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研究分担者 |
浅野 竜太郎 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80323103)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 緑色蛍光タンパク |
研究実績の概要 |
green fluorescent protein(GFP蛋白)単独、あるいは抗EGFR抗体(528IgG)の一本鎖Fv(528-scFv)単独での発現およびその機能解析を行い、GFP蛋白の機能(蛍光発色)および528-scFvの機能(EGFR抗原への結合)を確認することができた。しかしながら、GFP-528-scFvという結合蛋白においてはこれらの機能(蛍光発色+EGFRへの結合)の確認ができず、立体構成におけるなんらかの機能障害が示唆される。リンカーの長さを長くするなどの検討を行なっているが、これまでのところ結合タンパク質としての機能は不十分である。 ただ、これらの機能が回復しても、将来的な臨床応用において、GFP結合蛋白を生体に投与する安全性が確立していないことや、生体内で紫外線で励起して観察するというハードルを考え、以下のモデルを平行して研究を行なうこととした。 すなわち、手術室で使用ということを考え、蛍光発色物質としてインドシアニングリーン(ICG)を検討している。ICGは近赤外線を当てることで励起し、弱い蛍光発色をするが、すでに医療用、手術用にICGを励起する近赤外線カメラが市販され、実臨床の場で使用されており、これらの安全性はすでに証明されている。 臨床使用の際の安全性を考えればGFP、紫外線という組み合わせよりもよりICG+近赤外線カメラの使用がより安全で臨床応用に近いものと考えられる。 現在、528-scFvに化学的にICGを結合させることを検討し、in vivoでの実験系の確立を目指している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
リンカーの長さを変更したり、巻き戻しの条件を変更するなどしているが、結合タンパク質の機能が確認できていない。立体構成上の問題と考えるが、これまでのところ機能は回復しておらず、さらなる実験が行なえていない。 また、将来的に切除標本を用いた研究や動物実験は可能であるが、最終的に生体内で癌の有無を可視化するという目標においては、GFP結合タンパクの投与の安全性に加え、紫外線での励起・観察が必要であり、生体内での紫外線使用という点で安全性が示されていない。 以上より、進捗はやや遅れており、可視化の方法について変更を検討している。
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今後の研究の推進方策 |
緑色蛍光タンパク質の機能回復について実験を進めつつ、別の蛍光物質であるICGを抗体に結合させることを考えている。 ICGは近赤外線で励起され、肉眼では観察出来ないほどの微弱な蛍光を発するが、ICGを励起し観察する近赤外線カメラはすでに医療用に使用されており、これらを用いることで臨床応用の際のハードルを下げることが出来る。 現在ICGを結合した抗体作成および実験系の確立に向けて検討を開始している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が遅れており、研究費の使用は少なくなっている。
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