研究課題/領域番号 |
17K10699
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
寅田 信博 九州大学, 大学病院, 臨床検査技師 (00398075)
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研究分担者 |
宮坂 義浩 九州大学, 大学病院, 助教 (40507795)
藤田 逸人 九州大学, 医学研究院, 助教 (40611281)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | MALDI-MSI / Energy Charge / 凍結組織アレイ / バイオマーカー探索 |
研究実績の概要 |
膵癌はdesmoplasiaと呼ばれる細胞外マトリックスに富んだ組織を有しており、癌の浸潤等への関与が指摘されている。そのような細胞外マトリックスのリモデリングにおける代謝物の変化を分析することが本研究の目的である。当研究室では、三次元共培養よりも実際の組織を模倣しているとされるオルガノイドを用いて、細胞外マトリックス環境の再現を行っており、癌関連線維芽細胞(膵星細胞)の接触によってオルガノイドの基底膜を破壊し周囲への浸潤を促進することを見出し、膵星細胞上のMT1MMPおよび結合するMMP2が関与していることを見出した。さらに、膵星細胞からも分泌されるIL-6により、リンパ管上皮のS100P発現が亢進し、遊走能・および癌細胞集団がリンパ管内皮を押しのけるように浸潤していくCCID formation形成能が上昇することを確認し、両者に関連がある可能性を示した。一方、膵癌自然発生マウス(KPCマウス)を用いた検討では、週齢ごとに膵癌が進展していく各段階の組織像を確認することができ、末梢血および形成した腫瘍のFFPEサンプルより抽出したゲノムDNAを用いたエクソームシークエンスを行った。 ヒト由来乳がん組織を用いた、低分子代謝産物を対象としたメタボロームマッピングでの検討において、膵癌組織において、Energy chargeが高いことを見出し、原著論文として報告した。ヒト由来胃がん組織を用いたプロテオミクス解析では、スキルスがんと非スキルスがんの比較において、複数の酵素で有意な発現量の違いを認めており、詳細な解析を進めている。膵がん組織においても同様の実験を進めており、引き続き検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
膵癌自然発生マウスによる膵癌微小環境再現の再現については、三次元共培養やオルガノイド樹立と合わせて順調にすすんでいるが、MALDI-IMSで同定できる物質は限られているこという課題が見出され、研究は当初の計画よりもやや遅れていると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
MALDI-IMSで同定できる物質は限られている短所を補うため、プロテオミクスや液体クロマトグラフ法を用いた分析方法など様々な手法を組み合わせて解析を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
MALDI-IMSで同定できる物質は限られているという課題があり、研究は当初の計画よりもやや遅れているため。次年度は研究用試薬、器材、受託解析等に使用予定。
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