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2018 年度 実施状況報告書

膵癌腹膜播種形成を導く細胞クリアランスと腹膜中皮の新たな役割ー防御から促進へー

研究課題

研究課題/領域番号 17K10701
研究機関九州大学

研究代表者

井上 重隆  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (00529802)

研究分担者 進藤 幸治  九州大学, 大学病院, 助教 (00788432)
佐田 政史  九州大学, 医学研究院, 共同研究員 (10783508)
宮坂 義浩  九州大学, 大学病院, 助教 (40507795)
三好 圭  九州大学, 大学病院, 助教 (70755272)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード膵癌 / 腹膜播種 / 腹膜中皮細胞 / leading cell / spheroid / clearance
研究実績の概要

3Dモデルや膵癌自然発生マウスモデルを用いて、膵癌細胞と腹膜中皮細胞との相互作用を含めた腹膜播種解析モデルにおける膵癌細胞の浸潤過程の検討を行い、播種を導くleading cellを同定し、その役割を検討する。また、膵癌細胞のSpheroid形成依存性のmesothelial clearance に対する許容度を検討する。癌細胞以外の微小環境に存在する細胞に着目して浸潤・転移を検討していくのが今回の研究の計画である。
膵臓は脂肪組織に囲まれた後腹膜臓器であり、特に膵外浸潤に関わる点で、脂肪組織が主要な間質成分となっている可能性を考え、脂肪細胞に関わる癌間質相互作用について検討した。脂肪組織由来間質細胞(ASC)に着目し、C57BL / 6-Tg(CAG-EGFP)マウスの内臓脂肪を用いたin vitroおよびin vivo実験により、ASCが腫瘍微小環境内に誘導され、CAFの特徴の一つであるαSMAを発現していることを確認した。次にヒトASCの機能を評価するため、ヒト膵癌患者の切除標本から樹立したASCを用いてコラーゲンマトリクスの構造変化について評価したところ、ASCによって産生されたコラーゲンマトリックスは、癌細胞馴化培地との共培養においてより緻密な構造に変化し、膵癌細胞の遊走能を促進することがわかった。また、in vivoの実験において、GFPを発現したマウスの内臓脂肪を皮下移植し、定着した脂肪内への腫瘍細胞を移植すると、通常の皮下移植モデル、同所移植モデルに比べて腫瘍の進行が促進し、病理学的観察においてもαSMA陽性細胞と間質の増加が観察された。これらのことから、ASCは膵癌に浸潤し活性化するとCAFとして作用し、サイトカインを分泌するだけでなく、高密度のコラーゲンマトリックスを生成することによっても、腫瘍の進行、膵外浸潤を促進することを報告した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

膵癌細胞のcell lineや癌間質構成細胞である膵星細胞や脂肪細胞を用いての浸潤誘導、機能の推定は進んでいるが、実際の腹膜中皮細胞を用いた播種形成における相互作用に関しては、現時点では有意な結果が得られておらず、条件の改良を行いつつ実験を進めている。

今後の研究の推進方策

これまでの実験・解析手法に加え、胸膜中皮細胞と膵癌細胞の相互作用によって誘導される変化の解析手段として、当研究室で導入したsingle cell解析をもちいることも検討している。Single cellレベルでの機能解析により、癌細胞浸潤を導くleading cellとして機能する細胞同定とそのleading機序解明を目指す。
また、mesothelial clearanceの許容度が高い腹膜中皮細胞集団の同定とその機序の解明し、特定の腹膜中皮細胞を標的とした播種形成制御法を検討する。

次年度使用額が生じた理由

腹膜中皮細胞を用いた実験が難航しており、研究計画に遅れが生じているため。
次年度は研究用試薬、器材、受託解析等に使用予定である。

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公開日: 2019-12-27  

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