研究課題/領域番号 |
17K10705
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
平下 禎二郎 大分大学, 医学部, 助教 (10527758)
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研究分担者 |
猪股 雅史 大分大学, 医学部, 教授 (60315330)
太田 正之 大分大学, 医学部, 准教授 (80271104)
岩下 幸雄 大分大学, 医学部, 講師 (60534203)
上田 貴威 大分大学, 医学部, 講師 (30625257)
多田 和裕 大分大学, 医学部, 客員研究員 (50792503)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 膵癌 / フコシル化 / レクチン / FUT |
研究実績の概要 |
膵癌におけるフコシル化とそれを制御するフコース転移酵素(Fucosyltransfearase, FUT)の発現と癌化の関係を解明し、FUT抑制による新規治療薬の開発が目的である。 Ⅰ.膵癌の癌化にフコシル化が与える影響について膵癌切除標本を用いて検討する。 1.癌部と正常膵管部のフコシル化に関連するレクチン発現の比較:Laser microdissection法で癌部と正常膵管部をサンプルとして採取し、レクチンマイクロアレイを行い、癌部は正常膵管部と比較してフコシル化関連レクチン(AOL, AAL)が高発現であった。2.膵癌の臨床病理学的因子とフコシル化に関連するレクチン発現の関係:膵癌の臨床病理学的因子(進行度、深達度、リンパ節転移、脈管侵襲、再発、予後)とレクチンの発現の関係を検討し、フコシル化関連レクチン(AOL, AAL)の発現はリンパ節転移の有無との相関を認めた。 Ⅱ.膵癌におけるFUTの発現について膵癌切除標本を用いて解析する 1.膵癌の癌化に関与するFUTの同定:膵癌切除症例に対し、フコシル化に関与するフコース転移酵素(Fucosyltransferase, FUT)の免疫染色を行いスコア化した。癌部は正常膵管部よりFUT8が高発現であった。2.膵癌の臨床病理学的因子とFUTの関係:膵癌の臨床病理学的因子(進行度、深達度、リンパ節転移、脈管侵襲、分化度、再発、予後)と上記で同定したFUTとの関係を検討した。FUT8の発現の強さと臨床病理学的因子には関連を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度に計画した研究は、上記に示した結果を得ており、おおむね順調に進展している。 膵癌の癌化にフコシル化が与える影響についての膵癌切除標本を用いての検討では、癌部と正常膵管部のフコシル化に関連するレクチン発現の比較で、癌部は正常膵管部と比較してフコシル化関連レクチン(AOL, AAL)が高発現であった。膵癌の臨床病理学的因子とフコシル化に関連するレクチン発現の関係の検討では、フコシル化関連レクチン(AOL, AAL)の発現はリンパ節転移の有無との相関を認めた。 膵癌におけるFUTの発現についての膵癌切除標本を用いての解析では、癌部は正常膵管部よりFUT8が高発現であった。膵癌の臨床病理学的因子とFUTの関係の検討では、FUT8の発現の強さと臨床病理学的因子には関連を認めなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は膵癌の浸潤や転移とFUTの関係を検討するため、ヒト膵癌細胞株を用いて研究を進める。まず、FUTの増殖能、細胞浸潤能、接着能に与える影響を検討する。ヒト膵癌細胞株を用い、FUTをノックダウンさせた細胞株を作成し、細胞株の増殖能、細胞浸潤能、接着能を測定する。この結果を参考とし、FUT抑制による腫瘍の増殖、浸潤抑制効果、転移抑制効果をヌードマウスを用いたモデルにより検討する予定である。 研究計画の変更は現時点ではない。
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