研究課題/領域番号 |
17K10707
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
藪下 泰宏 横浜市立大学, 医学部, 助教 (80614693)
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研究分担者 |
遠藤 格 横浜市立大学, 医学研究科, 教授 (60211091)
廣島 幸彦 横浜市立大学, 医学研究科, 客員講師 (60718021)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 膵癌 / CRMP4 / 膵前癌病変 / 膵癌間質組織 |
研究実績の概要 |
われわれは、膵癌とその間質における発現蛋白のプロテオーム解析から、神経軸索ガイダンス因子の一つであるCRMP4が膵癌の進展機構に深く関与していることを明らかにした。膵癌は早期の段階から周囲臓器への浸潤や遠隔転移を認める。治療成績の向上には浸潤、転移を抑制することが重要である。CRMP4の役割制御機構を解明することは、膵癌の新規治療薬を開発していく上で極めて重要と考える。本研究の目的は、CRMP4の膵癌と膵前癌病変における制御機構を解明し、癌細胞-間質細胞間の相互作用における役割を明らかにすることである。平成29年度から平成31年度(令和元年度)までにCRMP4遺伝子欠損膵癌モデルマウスと膵癌モデルマウスの膵前癌病変病変を評価した。特に平成31年度(令和元年度)にはCRMP4の膵前癌病変の発生における役割を解析した。また膵前癌病変の間質組織における発現の差異をみとめた。間質組織におけるCRMP4の局在に関する解析も併せて行った。CRMP4遺伝子欠損膵癌モデルマウスでは高度異型膵上皮内腫瘍性病変の発生率が低下していることを明らかにした。膵上皮内腫瘍性病変の間質領域において、CRMP4とαSMAは共局在していることを明らかにした。研究の結果の一部は第74回日本消化器外科学会総会(令和元年7月、東京)で発表した。また研究成果を査読付き国際雑誌であるTraslational oncology誌(2020年3月)に発表した。得られた結果からはCRMP4は炎症の促進を通して膵上皮内腫瘍性病変の進行に関与していると考えられる.CRMP4の関与するシグナル伝達を阻害することが膵上皮内腫瘍性病変の発生と膵癌への発達を防ぐ治療戦略となる可能性があることを強く示唆している。CRMP4と膵癌発生の今後の研究の礎となる可能性を証明した。
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