研究課題
ヒト膵癌細胞株PK59をALDEFLUOR kitで処理し、ALDH高発現細胞をsorting後、sphere形成能を有する細胞のみを分離し、癌幹細胞を培養。樹立した癌幹細胞を接着プレートで培養し、再分化能を持つことを確認。また、PK59由来癌幹細胞株が親株に比して、5FUに対する耐性を有することを確認。PK59由来癌幹細胞株と親株での遺伝子発現をmicroarrayを用いた網羅的解析により比較検討したところ、種々のイオン輸送体が癌幹細胞において高発現していることを確認した。その中から、特に電位依存性カリウムチャネルの発現上昇に着目し研究を進めた。KCNB、KCNC、KCNDのmRNAレベルがPK59由来癌幹細胞株で著明に上昇していることをRT-PCRで確認。電位依存性カリウムチャネルの阻害薬である4-aminopyridineをPK59由来癌幹細胞株と親株に各々投与すると、癌幹細胞株においてより強い増殖抑制効果が確認された。4-aminopyridineは多発性硬化症に対し臨床で用いられている薬剤である。更に、PK59細胞を4-aminopyridineで処理後、ヌードマウスに皮下接種したところ、皮下腫瘍の成長が有意に抑制された。これらの研究成果は既に学会で発表し、論文としてまとめて英文雑誌に現在投稿中である。一方で、消化器癌におけるANO9 (Ann Surg Oncol. 2020)、LRRC8A (Am J Pathol. 2019)、TRPV2 (Sci Rep. 2019)、Sodium iodide symporter (Gastric Cancer. 2019)などのイオン輸送体の発現機能解析・臨床病理学的意義を検証するとともに、低浸透圧刺激後の温度・イオン輸送体・水輸送体を介する細胞容積調節機構を解明した(Int J Oncol. 2019)。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (12件)
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