研究課題/領域番号 |
17K10716
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研究機関 | 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
山本 久仁治 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん幹細胞研究部, 特任研究員 (00375073)
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研究分担者 |
玉井 恵一 地方独立行政法人宮城県立病院機構宮城県立がんセンター(研究所), がん幹細胞研究部, 部長 (40509262)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | がん幹細胞 |
研究実績の概要 |
近年、抗癌剤抵抗性の主因として、「がん幹細胞」の存在が示唆されている。しかし、現在まで明らかな効果のある「抗がん幹細胞」治療は存在しない。申請者は、胆道癌のがん幹細胞の探索を進める中で、BEX2 遺伝子が静止期がん幹細胞の制御に深く関与していることを見いだした。BEX2 が発現すると、がん細胞は静止期に移行し、抗癌剤耐性を獲得する。このことから申請者は、BEX2 およびその下流シグナルを阻害すれば、胆管癌の治療抵抗性を減弱させられると考えた。本申請課題では、そのための詳細な分子機構の解明および阻害化合物の探索を行う。 本申請課題では、特に以下の点に関して明らかにする。 BEX2 が関与するシグナルの同定。特に、BEX2 分解に重要なユビキチンE3 ligase の同定 BEX2 シグナル阻害剤の探索。 異種移植モデルマウスを用いたBEX2 阻害による効果検討。 がん幹細胞の特性は、細胞周期の他に、造腫瘍能やALDH 活性、ROS 抵抗性等多くの表現型が知られている。その中でも、抗癌剤や放射線に対する治療抵抗性という観点からは、静止期に留まるという点が臨床的に重要な特性と考えられる。最近の研究では、これまでがん幹細胞は細胞分化のヒエラルキーの頂点に位置し、免疫不全マウス上でがん組織を構築できるという点が重要視されていたが、現在では「生存により有利な細胞集団」との捉えられ方が一般的である。従って、治療抵抗性を引き起こす静止期がん幹細胞をコントロールするということは、がん幹細胞維持機構の根幹を制御できる可能性がある。 本年度は、BEX2阻害物質の1次スクリーニングを行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
特に問題なく進行している。
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今後の研究の推進方策 |
・BEX2 会合タンパク同定による分子機構の解明 質量分析を用いて、会合タンパクを同定し、それらが機能性であることを確認して、BEX2 が中心 となって関与する経路を同定する。 ・BEX2 経路阻害剤の探索 BEX2 発現を阻害する小分子化合物、あるいはBEX2 経路を阻害する小分子化合物を、ハイスルー プットスクリーニングによって探索する。
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次年度使用額が生じた理由 |
一次スクリーニングの実験系検討の結果、当初の予定よりも少ない試薬量でルシフェラーゼ発光が検出できたため、予定額より少ない支出となった。次年度の2次3次スクリーニングで残額を使用する。
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