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2017 年度 実施状況報告書

iPS細胞由来NKT細胞をベースとした抗腫瘍T細胞の構築と膵臓癌治療への応用

研究課題

研究課題/領域番号 17K10717
研究機関国立研究開発法人国立がん研究センター

研究代表者

植村 靖史  国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, ユニット長 (40364781)

研究分担者 福田 恭子 (張エイ)  国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, 研究員 (00643719)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードがん / 免疫 / NKT細胞
研究実績の概要

がん細胞表面抗原に対する1本鎖抗体の可変領域をリンカーで結合した抗体部分にCD8α膜貫通ドメインとシグナル伝達領域(CD28/4-1BB/CD3ζ鎖)を融合した第三世代キメラ抗原受容体遺伝子を作製してレトロウイルスベクターに組み換えた。これとgag-pol、env 遺伝子発現ベクタープラスミドと共にレトロウイルス産生細胞に遺伝子導入して、一過性の組み換えウイルスを作製した。これをGibbon ape leukemia virus (GaLV)ベースのレトロウイルスパッケージング細胞に感染させ、ウイルス安定産生株を樹立した。これの培養上清(組み換えレトロウイルス)をT 細胞に添加してレトロネクチン法により遺伝子導入した。細胞傷害性試験の結果、CAR導入T細胞は、細胞表面のがん抗原を認識して、抗原特異的にがん細胞株を傷害することが明らかになった。一方、ヒトiNKT細胞に由来するiPSCから造血系分化を経由して、Flt3L, IL-7存在下, OP9-delta1上でT細胞への分化を誘導した。最終分化段階にIL-2とIL-15を添加した。分化したT細胞(iPSC-iNKT細胞)は、PHA刺激で増殖させることが可能であり、もとのiNKT細胞と同じT細胞受容体α鎖(Vα24)とβ鎖(Vβ11)を発現することをフローサイトメトリーで確認した。iPSC-iNKT細胞は、α-galactosylceramide(α-GalCer)を負荷した抗原提示細胞に対して、interferon-γを産生するとともに増殖応答を示し、抗原特異的にT細胞応答を示すことが明らかになった。以上より、我々が分化誘導したiPSC-iNKT細胞に、CARを導入することで、抗原特異的にターゲット細胞を傷害する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

iPSCからiNKT細胞を分化させる為に使用する血清の選択に時間を要した。

今後の研究の推進方策

iPSC-iNKT細胞の機能解析を進めるとともに、iPSC-iNKT細胞にCARを導入して、in vitroでがん特異的細胞傷害活性を明らかにする。iPSC-iNKT細胞に対するCAR導入が困難な場合が想定されるので、iPSCの段階でCARを導入した後にiNKT細胞に分化誘導する方法も試みる。

次年度使用額が生じた理由

2017年度予定の研究に若干の遅れがあった。これに伴い未使用研究費が発生した。これらの未使用研究費は遅れた分の実験を次年度に行う際の消耗品に充てる予定である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Co-delivery of tumor-derived exosomes with alpha-galactosylceramide on dendritic cell-based immunotherapy for glioblastoma2017

    • 著者名/発表者名
      Liu H, Chen L, Liu J, Meng H, Zhang R, Ma L, Wu L, Yu S, Shi F, Li Y, Zhang L, Wang L, Feng S, Zhang Q, Peng Y, Wu Q, Liu C, Chang X, Yang L, Uemura Y, Yu X, Liu T.
    • 雑誌名

      Cancer Lett.

      巻: 411 ページ: 182-190

    • DOI

      doi: 10.1016/j.canlet.2017.09.022

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] Cellular adjuvant properties and direct cytotoxicity in re-differentiated Vα24 invariant NKT cells from human induced pluripotent stem cells2017

    • 著者名/発表者名
      Rong Zhang, Syuichi Kitayama, Tianyi Liu, Tatsuaki Iwama, Tetsuya Nakatsura, Shin Kaneko, Yasushi Uemura
    • 学会等名
      第36回 札幌国際がんシンポジウム
    • 国際学会
  • [学会発表] Induction of CD8 T cell-mediated anti-tumor immunity by type 1 IFN-producing myeloid cell therapy2017

    • 著者名/発表者名
      Tatsuaki Iwama, Nobuhiro Tsuchiya, Rong Zhang, Tianyi Liu, Miwa Haruta, Yosuke Kubo, Azusa Miyashita, Satoshi Fukushima, Hironobu Ihn, Yasuharu Nishimura, Satoru Senju, Itaru Endo, Tetsuya Nakatsura, Yasushi Uemura
    • 学会等名
      第36回 札幌国際がんシンポジウム
  • [学会発表] IFNα産生ミエロイド細胞を用いたがん免疫療法2017

    • 著者名/発表者名
      岩間 達章、土屋 伸広、張 エイ、得光 友美、春田 美和、劉 天懿、吉川 聡明、澤田 雄、久保 陽介、宮下 梓、福島 聡、田久保 圭誉、阪上-沢野 朝子、宮脇 敦史、尹 浩信、西村 泰治、千住 覚、遠藤 格、中面 哲也、植村 靖史
    • 学会等名
      第21回 日本がん免疫学会総会
  • [学会発表] Induction of T cell-mediated anti-tumor immunity by type 1 IFN-producing myeloid cells2017

    • 著者名/発表者名
      IWAMA Tatsuaki, TSUCHIYA Nobuhiro, ZHANG Rong, LIU Tianyi, KUBO Yosuke, MIYASHITA Azusa, FUKUSHIMA Satoshi, IHN Hironobu, ENDO Itaru, SENJU Satoru, NAKATSURA Tetsuya, UEMURA Yasushi
    • 学会等名
      第76回 日本癌学会学術総会
  • [学会発表] 1型IFNを産生するiPS細胞由来ミエロイド細胞を用いたがん免疫療法2017

    • 著者名/発表者名
      張 エイ, 得光 友美, 土屋 伸広, 岩間 達章, 下村 真奈美, 澤田 雄, 遠藤 格,中面 哲也, 千住 覚, 植村 靖史
    • 学会等名
      第46回 日本免疫学会学術集会

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公開日: 2018-12-17  

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