研究課題/領域番号 |
17K10719
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
松居 喜郎 北海道大学, 医学研究院, 教授 (90219379)
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研究分担者 |
橘 剛 地方独立行政法人神奈川県立病院機構神奈川県立こども医療センター(臨床研究所), 心臓血管外科, 部長 (60374360)
新宮 康栄 北海道大学, 医学研究院, 講師 (30617064)
久保田 卓 北海道大学, 大学病院, 講師 (70455640)
大岡 智学 北海道大学, 大学病院, 助教 (60507573)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 熱可塑性リング / 僧帽弁形成術 |
研究実績の概要 |
僧帽弁形成術の際に弁輪縫縮や形成後の長期安定性を期待して人工弁輪縫着が行われているが、現在までに40種類以上の人工弁輪が市販され最適な人工弁輪は未だ結論がでていない。人工弁輪縫着後に僧帽弁接合長の不足や僧帽弁前尖の前方運動により、僧帽弁逆流が制御されず人工弁輪変更や追加手技を必要とする場合がある。人工弁輪の変更で逆流を制御できる場合があるが、人工心肺時間の延長、僧帽弁組織への侵襲、コストの問題がある。これまでに縫着後に自在に変形できる人工弁輪は報告がない。今回我々は熱可塑性素材を用いた新規人工弁輪の開発と臨床応用の可能性について検討した。新規人工弁輪は熱可塑性素材であるポリカプロラクトン(融点60℃)を弁輪の骨格とし、ニクロム線に直流電流を通電し加熱変形し手術中に自在に何度でも変形できる。本研究では変形により僧帽弁接合様式の変化、加熱変形時の各弁輪部分温度と周囲組織への加熱の影響、人工弁輪の物性試験、変形後人工弁輪の心サイクルでの耐久性の有限要素法による解析を行った。ブタ心臓を用いた検討にて人工弁輪を変形することにより僧帽弁接合様式と弁尖から中隔までの距離を変化させることが確認された。人工弁輪加熱の際に被覆材により人工弁輪の外装の温度は40℃以下であり、病理組織にて僧帽弁輪への熱侵襲は確認されなかった。物性試験では、人工弁輪として十分な耐久性をもち、種々の形態に変形したあとも耐久性が保たれることを有限要素法を用いたシュミレーションにて明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ex vivoでの検討は終了しており、今後の生体ブタでの実験の準備が整っているため。
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今後の研究の推進方策 |
長期耐久性と生体内での機能を生体ブタを用いて検討する。具体的には全身麻酔下で人工心肺心停止のもと上記熱可塑性リングを僧帽弁に縫着し、前後の心機能評価および3週間後の組織変化を評価する予定。
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次年度使用額が生じた理由 |
ブタ摘出心を用いた僧帽弁の手術の際に使用するモック回路の一部を、従来の回路で代用できたため、次年度使用額が生じた。翌年度計画している、実際の生体ブタの心臓手術の際に使用する人工心肺回路の費用に充てることができる。
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