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2019 年度 実施状況報告書

フォンタン術後不整脈の発生機序の解明とより良いフォンタン循環を目指した術式の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K10726
研究機関富山大学

研究代表者

芳村 直樹  富山大学, 学術研究部医学系, 教授 (20401804)

研究分担者 三崎 拓郎  富山大学, 医学部, 名誉教授 (40092811)
市田 蕗子  富山大学, 事務局, 学長補佐 (30223100)
深原 一晃  富山大学, 学術研究部医学系, 准教授 (40343181)
青木 正哉  富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (80728303)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2021-03-31
キーワード先天性心疾患 / 一心室修復 / フォンタン手術 / 不整脈
研究実績の概要

三尖弁閉鎖、単心室など二心室修復が不可能な複雑心疾患に対する機能的修復術であるフォンタン手術は、遠隔期の不整脈、うっ血性心不全など未解決の問題をはらんでいる。本研究の目的はフォンタン手術までに行われる複数回の段階的手術ごとに洞結節の部位や興奮伝播パターンの変化を明らかにし、術後近接期から遠隔期にいたる不整脈の発生機序に関する検討を行い、上記問題点の解決に寄与することである。
平成29~令和元年度(平成29年4月から令和2年3月まで)にフォンタン手術適応となる機能的単心室疾患群32症例に延べ36回の姑息手術、9回のグレン手術、13回のフォンタン手術、12回のペースメーカやICD等のデバイス手術を施行した。32例中14例が経過中に治療を要する不整脈を合併した。不整脈の内訳は房室ブロック7例、頻拍発作2例、洞機能不全症候群5例で、10例(うち4例が右側もしくは左側相同心)がフォンタン手術施行前に不整脈を発症していた。
相同心をはじめとする複雑な形態を有する心疾患の心表面マッピングを行うためには乳幼児用電極を開発しなければならない。近年、3Dプリント技術の発達により、3D心臓模型の作成が可能となった。われわれは心臓外観の描出のみならず、心室内特に心室中隔の描出を試み、心室内の構造もかなり正確に描出できるようになった。3D心臓模型の作成により、洞結節~房室結節~プルキンエ線維にいたる刺激電動系の走行を立体的にイメージすることが可能となった。
上記の如く、機能的単心室症例は二心室症例に比して不整脈の合併頻度は著しく高く、さらに詳細な心電図解析が必要である。平成30年度にレイトポテンシャルやT波オルタナンスなど高分解能心電図記録が可能なホルタ記録器を導入し、主として術後の機能的単心室症例および二心室症例のホルタ解析を開始した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本研究では、成人の不整脈外科に用いられてきたマッピングソフトと、乳幼児用に改良した心表面マッピング電極を用いて術中マッピングを行い、洞結節の位置や切開縫合線の興奮伝搬パターンの影響を測定することによって術後遠隔期不整脈の発生状況を検討する予定であった。体表面マッピング装置(フクダ電子7100)上で使用する乳幼児用マッピング心表面ソフトならびにマッピング電極の作成が困難であるとの報告を受けた。将来的に術中マッピングを継続して行っていくことが困難であることから、以前に術中マッピングを行った症例のその後のホルタ解析を行い、術中マッピング所見との対比を行う方針とした。また、当科で経験したすべての機能的単心室症例の不整脈の発生状況とその治療経過についても検討を加えている。それらの成果についての報告を行う予定であったが、コロナウイルスの世界的流行により、予定されていた学会がことごとく中止または延期となり、研究の完成に至っていない。

今後の研究の推進方策

フォンタン手術を要する機能的単心室症例および、通常の二心室症例において、周術期から遠隔期において定期的に電気生理学的検査を施行し、不整脈発生状況を調査し、マッピングデータとの関連性について検討する。
フォンタン手術を要する機能的単心室症例の3D心臓模型を作成し、それらの心内構造から刺激電動系の走行を推測し、マッピングデータとの関連性について検討する。

次年度使用額が生じた理由

成果についての報告を行う予定であったが、コロナウイルスの世界的流行により、予定されていた学会がことごとく中止または延期となり、旅費の執行ができなくなってしまった。今後の学術集会開催状況によっては旅費として使用せず、更なる研究の推進に充てることも計画している。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Novel compound heterozygous TBX5 variants may induce hypoplastic left heart syndrome2019

    • 著者名/発表者名
      Miyao Nariaki、Hirono Keiichi、Hata Yukiko、Yoshimura Naoki、Ichida Fukiko
    • 雑誌名

      Pediatrics International

      巻: 61 ページ: 607~609

    • DOI

      https://doi.org/10.1111/ped.13854

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Determination of the Serum Unbound Fraction of Tadalafil in Children with Protein-Losing Enteropathy and Its Specific Binding to Human Serum Proteins <i>in Vitro</i>2019

    • 著者名/発表者名
      Shigetomi Nanami、Kamiya Kenta、Takamori Toru、Yoshimura Naoki、Ozawa Sayaka、Hirono Keiichi、Ichida Fukiko、Taguchi Masato
    • 雑誌名

      Biological and Pharmaceutical Bulletin

      巻: 42 ページ: 110~115

    • DOI

      https://dx.doi.org/10.1248/bpb.b18-00652

    • 査読あり
  • [学会発表] Congenital Vascular Ring2019

    • 著者名/発表者名
      Naoki Yoshimura, et al.
    • 学会等名
      The 13th Japan-Germany-China Joint international Meeting of Cardiovascular Disease
    • 国際学会
  • [学会発表] 多孔性筋性部心室中隔欠損の詳細な構造評価においてMDCT 3D再構成画像が有効である2019

    • 著者名/発表者名
      伊吹圭二郎ほか
    • 学会等名
      第55回日本小児循環器学会総会・学術集会
  • [学会発表] ACHDセミナー「CHD術後成人の診療で重要な術式のポイント」2019

    • 著者名/発表者名
      芳村直樹
    • 学会等名
      日本循環器学会第154回東海・第139回北陸合同地方会
    • 招待講演

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公開日: 2021-01-27  

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