研究課題/領域番号 |
17K10749
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 晃太 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00753542)
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研究分担者 |
赤木 大輔 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (20464753)
保科 克行 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (90571761)
渡邉 聡明 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80210920) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 動静脈瘻 / 開存率 / シルデナフィル / マウス |
研究実績の概要 |
全体としては当初の計画からは多少の遅れがあるものの本年度の前半は本実験への準備にあて、年度末からは本実験を開始し始めた。 準備(1)超音波装置(エコー)による手術前後の評価の確立:当初購入予定をしていた小動物用エコーでは目的としているマウスの下大静脈の観察(特に径の測定)が厳しく実験責任者が留学中に使用していたエコーのレベルには達していなかった。そのため改めて東京大学内の各実験室をあたり適切なエコーを所有している研究グループと交渉し使用が認められるに至った。 準備(2)シルデナフィルの投与法の確立:研究変更にて投与する予定となった同薬品であるが諸家の報告では種々の投与法があり本実験での投与法を決定する必要があった。そのなかで経口摂取が妥当と考えた。これは既に臨床面でも使用されている薬剤でありそれが経口摂取であることから今後の計画にも移行できるという配慮からである。続いてその量の決定であるが人間の投与中の血中濃度とマウスの濃度を同等にするための研究が報告されており、この報告が本学からのものであることから各種意見を取り入れ、これを利用することとした。これらを加味してマウスの体重および餌の摂取量から最終投与方法を決定した。 本実験:初年度にマウスの動静脈瘻モデル作成技術およびその成績の向上に励みこれを達成した。続いて2年目においては前述の通りようやく本実験の遂行に支障がない環境を整えたため年度末からシルデナフィル投与群と非投与群の動静脈瘻比較試験を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本実験にはマウスモデルにおける下大静脈径の測定が必須である。しかし当初購入を検討していた超音波装置(エコー)を実際に試験使用してみるとマウスの下大静脈の評価は困難であり本実験における使用には妥当ではないと判断した。そこで実際に研究責任者が留学中に利用していたエコー装置を利用している研究機関を東京を中心に探したところ本学にも設置している研究室をみつけ、そこに本実験の概要を説明し交渉をおこなった。その結果利用許可を得るにいたったが、あくまでもエコーの利用許可のみであった。そのため改めてこの施設でマウスの手術をできる環境(施設の利用申請・利用にあたっての講習受講・マウス納入法の確保・麻酔器具・手術器具等の設置)を整えるために時間を要してしまった。 本来ならこれで1年以上の遅れとなると思われたが逆にシルデナフィルの投与法については上述の如く本学の本薬剤投与の経験がある研究グループの意見を聞くことができたためシルデナフィルの投与法の予備実験を簡略化できたため実験の遅れをやや取り返せているのが実情である。
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今後の研究の推進方策 |
総合的には半年から1年程度当初の計画から遅れての本実験の開始となった。しかし準備を長くした分ここからの本実験は機械的に進むことと思われる。具体的にはシルデナフィルを投与する群としない群に分けて手術から6週間後の動静脈瘻の血管に及ぼす影響および開存率の比較を行う予定である。現在の所30匹同士の比較を検討しているが一度に行えるマウスの数に制限があるためおそらく6-9ヶ月かかることを予定している。その結果を早急に解析し年度末には学会もしくは論文での報告を目標にしている。 本実験の途中で差が出ない可能性がある場合はまだ投与量には余裕があるので一旦投与法の変更を検討するプランも用意している。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では2年目には本実験を開始しマウスの購入量及びその維持量が必要となる予定であった。しかし研究の実績の項でも述べたように実験環境の整備が超音波装置の抜本的再考から始める必要があったため本実験の開始が半年から1年ほど遅れ気味となっている。動物の愛護的観点から徹底した実験準備を行ってからの本実験開始を重要視している。そのため当初の計画よりもマウスにかかる費用が大幅に少なくなっている。しかし本実験がようやく開始しておりこれに伴い研究3年における使用総額は予定どおり申請した物になると思われる。
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