研究実績の概要 |
大動脈瘤関連因子とビタミンDとの関係を明らかにするため、in vitroでJ774A.1マウスマクロファージを使用し、calcitriol投与での炎症メディエーターであるMCP-1、MMP-9,IL-1βの遺伝子発現量を評価したが、MCP-1の遺伝子発現は抑制されたが、IL-1βとMMP-9では促進する結果となり、calcitriolのマクロファージに対する抗炎症効果は確認できなかった。 この課程で、閉塞性呼吸器疾患で用いられるロイコトリエン拮抗薬であるモンテルカスト(Mont)の心血管疾患に対する有効性が報告されていることがわかり、calcitoriolのnegative dataをうけ、抗モンテルカストのマクロファージに対する作用と大動脈瘤に対する治療効果を検討。TNF-αで刺激したマウス由来マクロファージ(M1マクロファージ)をMontと供に培養し,炎症性サイトカインの遺伝子発現を解析.Mont添加マクロファージ(M0マクロファージ)のArginase-1の遺伝子発現及び細胞表面抗原を分析、マウス動脈瘤モデル作製し、28日後に大動脈瘤径,瘤壁の中膜のエラスチンの割合、MMP活性,炎症性サイトカイン、M2マクロファージを測定。 MontはM1マクロファージのMMP2,MMP9,IL-1β,NF-κBの遺伝子発現を有意に抑制し、M0マクロファージのArginase-1の遺伝子発現を有意に促進、Mont群で有意に瘤径拡大が抑制(生食群2.44mm vs Mont群1.59mm,p<0.01)、エラスチン分解が有意に抑えられ(生食群45% vs Mont群56%,p<0.05)、MMP2活性も有意に低下(生食群1234µM vs Mont群734µM,p<0.05)。Mont群で有意にM2マクロファージが増加(生食群7.5% vs Mont群14.7%,p<0.05)。
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