研究課題/領域番号 |
17K10756
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
藤井 泰宏 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (40534673)
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研究分担者 |
内田 治仁 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (00550857)
大澤 晋 岡山大学, 大学病院, 講師 (20643414)
中谷 達行 岡山理科大学, フロンティア理工学研究所, 教授 (50520920)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Diamond-like-carbon / ePTFE / 人工血管 / 表面コーティング / 無機コーティング / 開存率 / 細胞誘導 / 透析シャント |
研究実績の概要 |
4mm ePTFE人工血管内腔に、我々独自の技術を用いて、予定通りDLCコーティングを施すことに成功した。作成したDLCコーティングePTFE人工血管を用いて、6匹のDLCビーグル犬の頸動脈置換術を施行した。両側の頸動脈置換術を行い、一方側に通常のePTFE人工血管を用いた頸動脈置換術を行い、反対側にDLCコーティングePTFE人工血管を用いたることで、個体差無く分析できるように実験系を若干変更した(当初は1個体1本での手術を予定していた)。開存率はDLCコーティングの有無で差が無かった(33%)が、組織学的には、DLCコーティングePTFEの方がePTFE内腔に張る繊維性内膜がスムースで均一になりやすい傾向にあること、人工血管壁内への細胞浸潤がDLCコーティングePTFEで著しく少なく、特にα-SMA陽性細胞の血管壁内への浸潤が一見して明らかなほどDLCコーティング人工血管で少い事が判明した。 また、ヤギ6匹で頸動静脈シャント(ヤギは安価であること、ヤギの方が頸が長くシャント作成に向いていることから実験動物を変更した)を作成した。動脈置換術同様、両側にシャント作成し、個体差を消して分析した。人工血管そのものの開存率は、DLCコーティングePTFE人工血管の非劣勢を示したのみであったが、開存の仕方がDLCコーティングePTFEで中央部分の開存面積比率が有意に大きく、両端の吻合部からの肉芽の内腔への進行が遅いのではないかと考えられた。IVUSは本研究開始時は本体のレンタルが安値で可能であったが、途中から非常に高値となり、IVUSによる狭窄の経時的変化のデータ収集はできなかった。 本研究はDLCの開存率に対する非劣勢を証明し、DLCによる細胞誘導変化の可能性が明らかになった。今後は、DLCに官能基を付加するなど改良を施し、DLCによる高開存率人工血管の開発を続けていく予定である。
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