研究課題/領域番号 |
17K10758
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
高橋 信也 広島大学, 病院(医), 講師 (70423382)
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研究分担者 |
野間 玄督 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (00379893)
末田 泰二郎 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 教授 (10162835)
弓削 類 広島大学, 医歯薬保健学研究科(保), 教授 (20263676)
中島 歩 広島大学, 医歯薬保健学研究科(医), 共同研究講座教授 (40448262)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 脊髄虚血 / 間葉系幹細胞 / 抗炎症作用 |
研究実績の概要 |
胸部大動脈手術における術後対麻痺は、生命を脅かす重篤な合併症である。急性期および遅発性に発生する脊髄障害および細胞死を予防することは、今後も成果の期待される。優れた抗炎症作用のMSCが、脊髄神経細胞のネクローシスおよびアポトーシスの予防に関与することと、大量増殖したMSCの投与による脊髄神経保護を、ラット脊髄虚血再灌流モデルを用いて検討している。 ラット骨髄間葉系幹細胞(MSC)を用いて、微小重力環境での細胞培養を行った。通常のFBS加DMEM溶液による培養群と、STK-2を用いた培養群を作成した。そして、それぞれの群において、通常重力下(1G)と、微小重力下(MG)での培養を行い、計4群の培養細胞自体の比較を行った。結果として、有意にSTK-2を用いた微小重力下で培養した細胞の細胞数が増加し、かつ形態が均一化した。STK-2を使用した群にては濃度設定を行うことにより、良好な大量細胞培養が得られるようになった。 これら幹細胞は、ラット脊髄虚血モデルに対して投与された。PBSを投与した群を対象群として比較した。いずれのMSCを投与した群も、虚血後3日目および7日目で徐々に脊髄変性の進行を認め、TUJ-1染色にてDMEM、STK-2いずれの溶液においても、MG下での培養細胞の方が軽度であった。GFAP陽性細胞に関しては、MSC投与群の方が突起が有意に短かった。またBDNFの発現はMSC投与群の方が有意に高かった。 DMEMとSTK2での下肢運動に関する差異は、術後3日目の時点では有意ではなかったが、STK2群の方が組織学的変性の程度が少ないため、長期での評価およびリハビリテーションなどを含めた機能評価を行う必要性があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
MSCの大量培養が可能となり、微小重力下で培養したMSCの性質を調査しているところである。DNAマイクロアレイの結果が思うように得られておらず、それは、異なる培養方法での差異が十分に認められないことにもよる。
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今後の研究の推進方策 |
STK-2培地での培養細胞の有意性を見出すための検討を重点的に行うことと、脊髄虚血モデルによる実験の観察期間を延長して、その効果を組織学的に評価することを重ねていく。運動機能が回復しない例をターゲットとした組織学的評価を行い、その原因検索を行うことにより、治療効果の改善をめざす。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子の網羅的解析とsiRNAによる遺伝子ノックダウンによる治療効果の影響の検討が遅れているため。これら一連の研究を進めていく。
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